17年ぶりの新ブランドビール開発者に聞く 東北産ホップ「晴れ風」【経済トレンド】
「17年ぶりの新ブランドでおいしさを届けたい」。キリンビールが4月に発売したビール「晴れ風」。好調の理由を商品開発を担当するキリンビールの向井優夏(むかい・ゆか)さんに聞いた。(共同通信=増井杏菜記者) 東北産ホップを使い、酸味を抑えるなどの工夫で飲み応えと飲みやすさを目指した。店頭想定価格は350ミリリットルで225円前後。価格は2024年7月時点。 2024年6月末で販売数量は年間目標の6割を超えた。酒税法改正で2026年にはビール、発泡酒、第三のビールの税額が等しくなる。「ビール需要が増し、新規顧客も期待できる」と新たな主軸ブランドを立ち上げた。 独自調査で分かったビールが苦手な理由の「苦さや重さ、酸味」を踏まえた味わいを考案。原料にかんきつの香りが特徴の東北産ホップ「IBUKI」を使用した。入れるタイミングを計り、過度に香って苦みが強調されないよう工夫。麦芽100%で雑味をなくし、麦のうまみを引き立てた。
「仕込みや発酵の工程を見直して酸味を抑えつつ、口当たりがまろやかな飲みやすさを追求しました」。ただ、苦みや酸味はビールの特色でもある。「抑え過ぎないよう、調整するのに苦心しました」 おいしさ以外の価値も提供したいと、花見や花火といった日本の風物詩を守る活動に売り上げの一部を寄付する取り組みも。缶に印字のQRコードなどからできる。「わずかでもビールの恩返しとして支援したいです」。向井さんは徳島県出身、33歳。