海事局長が2024年を総括。「船員確保は喫緊の課題」
国土交通省の宮武宜史海事局長は25日の定例会見で2024年を振り返り、「来年に向けていろいろと検討した一年だった。いろいろと弾を込めた。来年はそれをどう生かしていくかだ」などと総括した。今年は「海技人材の確保の在り方に関する検討会」「海技教育機構(JMETS)の中期的な在り方に関する検討会」など、船員の確保・育成を巡る議論が本格化した。宮武局長は「船員確保は喫緊の課題だ」とし、来年以降、両検討会の成果物(中間取りまとめ、骨子)の具現化に注力する考えを示した。 両検討会の成果物の中では船員の養成ルートの強化、陸からの転職者を念頭に置いた間口の拡大、JMETSの基盤強化など、今後の船員の確保・育成策の在り方の方向性が提示された。 これらの方向性に基づく具体的な施策については「法改正も視野に制度設計に取り組む。また、法改正を伴わないものは実施可能なものから官労使で連携し速やかに実行に移す」と意欲を示した。 最終取りまとめの策定時期は、海技人材の確保の在り方に関する検討会が来年夏ごろを、JMETSの中期的な在り方に関する検討会は来年春ごろを見込む。 20日に策定された来年度与党税制改正大綱にも言及。今回の大綱には海運業界が要望していた内航船も対象の中小企業投資促進税制(中促)の延長が盛り込まれた。 「中小企業関連の税制自体が政治案件になり、最終決着がなかなかつかなかったが、何とか要望通り認められた」と胸をなで下ろした。 17日の安定・効率輸送協議会で内航の商慣習改善などに資するガイドライン改定を巡り荷主や海運事業者らを交えて審議したことも説明。参加委員からの意見として「荷役時の作業で、陸と船の作業の責任に関するルールを整理する必要がある」「荷役作業の負担軽減は重要だが、設備導入で国の支援があると、ありがたい」などが出たことを報告した。その上で、荷主、内航事業者の連携強化などを目指す同協議会について「今後も大事に進めていきたい」と述べた。
日本海事新聞社