競歩・川野(御殿場南高出)混合リレーでパリ五輪切符 男子20キロ、池田(浜松日体高出)も正式発表
日本陸連は26日、パリ五輪の競歩日本代表を発表し、男子の川野将虎(25)=旭化成、御殿場南高出=が男女混合リレーで代表に内定した。50キロで6位入賞した東京五輪に続く2大会連続出場。2月の日本選手権20キロ競歩男子で優勝し、同種目で既に代表入りを決めていた池田向希(25)=旭化成、浜松日体高出=とともに大舞台に挑む。 混合リレーは東京五輪まで行われた50キロに替わり新たに採用された。男女各1人の2人チームで、フルマラソンと同じ42・195キロを約10キロずつ交互に歩く。日本は21日の世界競歩チーム選手権で出場2枠を確保していた。 川野は世界選手権の35キロで、2022年「銀」、23年「銅」と2大会続けてメダルを獲得。パリ五輪は同種目が実施されないため、20キロでの出場を目指していた。日本選手権は4位に敗れ個人出場はかなわなかったが、新種目で代表に選出された。 ■失意乗り越え不屈の歩き 混合団体「金」への切り札に 35キロ競歩がパリ五輪種目から消えて1年。決して思い描いた道ではなかったが、川野将虎(旭化成、御殿場南高出)が2度目の五輪にたどり着いた。26日に男女混合団体代表に内定。世界選手権2大会連続メダルの主戦場を奪われた25歳は、転向した20キロでも個人出場を逃した失意を乗り越え、新種目で悲願の金メダルを狙う。 「日本の競歩の歴史は50キロの選手が築いてきた」。50キロが最後に行われた東京五輪で6位入賞し、後継の35キロでも2022年世界選手権で銀メダルを手にした川野は、そんな先達への思いを胸に日本の長距離競歩を支えてきた。だが、昨年4月にパリ五輪で35キロの不実施が決定。「長い距離こそ競歩の魅力が伝わるのに。(距離変更は)悔しい」と一時は目標を見失いかけたという。 それでも、昨年の世界選手権で2大会連続のメダルとなる「銅」。20キロの日本勢がメダルなしと完敗する中、「競歩王国」の意地を見せると、そこから半年で20キロに挑戦。2月の日本選手権で4位に終わって個人出場の望みが絶たれたが、「もう混合団体しかない。五輪は五輪、狙っていく」と不屈の精神力で歩き続けた。 フルマラソンと同じ42・195キロを、男女2人で約10キロずつ2度歩く混合団体。まだ未知数ながら、スピード、スタミナ、回復力など競歩の全ての要素が求められる。50キロから20キロまでを経験し、どんなに苦しくなっても食らい付く川野にうってつけとも言える。 個人20キロから混合団体までは中5日と日程が厳しく、男子は重複出場しない。各国の選手層が問われる一戦で、日本競歩の伝統を継承してきた第一人者が頂点への切り札となる。 かわの・まさとら 1998年10月23日生まれ。小山町出身。御殿場南高で競歩を始め、全国高校総体で2年連続入賞。50キロの日本記録(3時間36分45秒)保持者で東京五輪は6位に入った。35キロは世界選手権で2022年銀メダル、23年銅メダル。旭化成。25歳。
静岡新聞社