映えスポット「富士山夢の大橋」へ長距離輸送か 白タク疑いで外国人2人逮捕 静岡県警
SNS映えする富士山写真の人気スポットまで無許可でタクシー営業(白タク)をしたとして、清水、富士両署と静岡県警交通指導課の合同捜査指揮室は25日、道路運送法違反(有償運送の禁止)の疑いで、インドネシア国籍の男女2人を現行犯逮捕した。現場は富士市蓼原にある国道139号の「富士山夢の大橋」。交流サイト(SNS)上で注目され外国人観光客が急増する中、白タク車両に関する相談などを地域住民らから受けた県警が内偵捜査を進めてきた。 逮捕されたのは、神奈川県横須賀市追浜南町2丁目、職業不詳の男(38)、群馬県太田市宝町、職業不詳の女(41)の両容疑者で、国土交通大臣の許可を受けずに24~25日、観光客18人を自家用のミニバン2台に分乗させて羽田空港から富士山夢の大橋までの間、有償で運送する契約の下で運行した疑い。 関係者によると、羽田空港から国内6日間の日程で運行する契約で、乗客18人は24日夜に宿泊した山梨県内のホテルから夢の大橋を訪れていたという。男が白タク運営の中心的役割を担っていたとみて、合同捜査指揮室が具体的な手口などを解明する。 夢の大橋が人気スポット化したことで路上駐車などが問題化し、橋の下には急きょ駐車場が確保された。25日午前11時ごろ、2容疑者が運転する2台が駐車場に止まると、インドネシア人とみられる親子らが次々と降車し、橋の上などで撮影を楽しんだ。 容疑者の逮捕直後、取材に応じた乗客の男性は「ドライバーとは、インドネシア語でインスタグラムを通じてメッセージのやりとりをした。会ったことはない」と説明。白タクの違法性について「知らなかった。(観光が中断し)混乱している」と心境を語った。 静岡県警は5月下旬、清水港に停泊した大型クルーズ船の乗客を対象に無許可で白タク行為をしたとして、パキスタンとベトナム国籍の男をそれぞれ道路運送法違反容疑で現行犯逮捕した。いずれも静岡簡裁から罰金30万円の略式命令を受けている。 多国籍の乗り合わせ 今春ごろから横行 SNS映えする富士山写真が撮れると話題になっている「富士山夢の大橋」の周辺では、今春ごろから多国籍で乗り合わせるミニバンなどの乗降車が横行していた。 橋南側にある市道では、急に路肩に止まる車両の影響で後続がクラクションを鳴らす様子を、近隣住民が何度も目撃していた。橋の隣に住む男性によると、駐車場外での乗降車は一般のタクシー以外にも、首都圏や名古屋圏のナンバーのレンタカーとみられるミニバンが確認されたという。日頃からミニバンに乗る市内の男性は「近くを通ったら外国人が近づいてきたことがある。白タクドライバーと思われたのかもしれない」と振り返った。 県警による摘発の一方で、観光客が殺到している同橋では交通ルールの順守やマナー啓発の取り組みも着々と進められている。中央分離帯には進入防止のフェンスが設置され、富士市はSNSで駐車場の紹介などを始めた。市担当者は「駅からタクシー会社の利用を勧めるなど、橋への行き方も案内したい」と話す。
静岡新聞社