大谷翔平、守備評価なしマイナスからのスタート 史上初DH専任MVP勝ち取り誰もが認める最強打者に
ドジャース・大谷翔平投手(30)が21日(日本時間22日)、全米野球記者協会(BBWAA)が選出するナ・リーグの最優秀選手(MVP)に満票で選出された。史上12人目となる3度目の受賞で、DH専任選手、移籍してリーグをまたいでの2年連続受賞はともに史上初。 【動画】MVPが決まった瞬間!真美子夫人が「グータッチ」デコピン仰天行動 * * * * DH専任選手のMVP選出は、今季の大谷が史上初となった。1973年にア・リーグで導入され、2022年からはナ・リーグでも採用されたDH制。これまでのMVP受賞者で、大谷を除くと最も出場したのは、1979年ベイラー(エンゼルス)の65試合。外野で97試合先発しているから専任とはいえない。 そもそもDH制は、1973年から、ア・リーグの人気向上と得点力アップのために採用されたが、当初は守備力に衰えの出始めたベテラン長距離砲のためのもの。守れない、ピークを超えた選手が起用されたこともあり、MVP候補に挙がるのも少なかった。NPBでもDHのMVPは79年マニエル(近鉄)、88年門田(南海)の2人だけだ。 MVPに近づいた選手もいた。最優秀DH賞の「エドガー・マルティネス賞」の由来になったE・マルティネス(マリナーズ)は1995年に3割5分6厘で首位打者に輝き、OPSも1・107でトップだったが投票では3位止まり。05年のD・オーティズ(Rソックス)は148打点で打点王に輝くと、24ポイント差の2位と最接近した。だが、受賞はできなかった。 なぜなのか。記者投票によって決まるMVPは1931年以降、昨年までに満票決着は20人(21度)のみ。複数選手の争いになることが多い。その中で評価基準のひとつになるのが「WAR」。メジャー最低レベルの選手と比較して、どれだけ多くの勝利に貢献したことを示す指標で、守備による貢献度も加味される。打撃成績の優先度が高いとはいえ、試合の半分を占める守備評価がないとなると、DH専任選手はどうしても不利になる。実際に米メディアでは今季中盤までは大谷が守っていないことを理由に選出にふさわしくないという論調も散見された。 さらに、近年ではDH専任を置かず、守備面での休養を兼ねて複数のレギュラー選手でDHを回すチームも多い。今季は全30球団で20チームがスタメンDHに10人以上を起用。最も多かったエンゼルスは18人を起用した。大谷以外にも全162試合DH先発のオズナ(ブレーブス)、109試合のスタントン(ヤンキース)らDHを主戦場にする強打者もいるが、決して多くない現状もある。 つまり、圧倒的な結果を残さなければDHは難しい。大谷は、昨季までは投打二刀流が評価され、「ポジション」というくくりでは“無双状態”だったが、DH専任の今季はむしろ評価はマイナスからのスタートだった。その中で打ちまくり、走りまくり、満票で勝ち取った。誰もが認める最強打者になったといえるだろう。
報知新聞社