「地震に負けず大漁を」 石川県漁協・小木港 スルメイカ求め出漁
●昨季最少、燃油高騰…巻き返し誓う 日本海でスルメイカ漁を行う石川県漁協所属の中型イカ釣り船の出漁が9日、ピークを迎え、4隻が能登町小木港を出発した。燃油高騰や外国船の違法操業に、能登半島地震による港の損壊が重なり、県漁協所属の中型イカ釣り船が今季はついに1桁の9隻となった。昨季の小木のスルメイカの水揚げ量は過去最少で、漁師は「地震に負けず、大漁を」と巻き返しを誓った。 9日は第88興洋丸、第31永宝丸が舳倉島(へぐらじま)沖へ向かった。イカの群れを追いながら能登半島沖の好漁場「大和堆(やまとたい)」やロシア側の排他的経済水域(EEZ)などで操業する。第28寶來(ほうらい)丸と第23輪島丸は経由地となる山形県酒田港へ出発した。10日に高倉漁港から酒田へ向かった第68栄成丸や北海道の船1隻と船団を組み、15日に酒田港を出る。 小木港には乗組員の家族や友人らが駆け付け、船体に結び付けた紙テープを手に「頑張って」「応援しとるぞ」と声を掛けて見送った。大漁旗を掲げた漁船は汽笛を響かせ、スピーカーから大音量の演歌を流しながら港を後にした。 今季、県漁協所属の中型イカ釣り船は昨季の10隻から1隻減って9隻となった。第88興洋丸の齋藤久哉船長(63)は、昨季限りで廃業した「日章丸」を買い取り、船名を改称して出漁した。齋藤船長は「日章丸は毎年、たくさんのイカを水揚げしていた。それに負けないような水揚げをしたい」と意気込んだ。 昨年度に県漁協小木支所が取り扱った冷凍スルメイカの水揚げ量は、記録が残る1971(昭和46)年度以降で最少の822トンにとどまった。小木支所の山下久弥運営委員長(69)は「地震で被災した小木のためにも、例年以上に大漁を期待している」と話した。 県漁協所属の全9隻のうち、2隻は北太平洋でアカイカ漁の最中で、8月以降に日本海でのスルメイカ漁に合流する。残る2隻は12日に出漁を予定している。