エアバスと川重、関西3空港へ水素機導入で連携 3社インフラ整備へ調査
エアバスと関西エアポート(KAP)、川崎重工業(7012)の3社は10月18日、水素インフラ整備のフィージビリティ・スタディ(実現可能性調査)を実施する覚書を締結したと発表した。KAPが運営する関西と伊丹、神戸の関西3空港での水素航空機の導入・運航へ初期調査を進め、機体への水素供給の具体化へ連携を強化する。 【イメージ】東芝の超電導モーター技術を活用したエアバスの次世代機エンジン 3社連携では、関西3空港すべてで水素インフラの定義付けと供給へロードマップを作成する。調査結果は技術と経済性、法的適合性、運用の観点で評価。調査で見つかった課題は、実証プロジェクトなどにより、具体的な検証に入る。 エアバスとKAPの2社は2022年から、空港での水素利活用で協力している。KAP空港内での水素利活用に取り組んでおり、空港内の水素ステーションを中心とした燃料電池フォークリフトや燃料電池バスなどを運用している。またKAPが運営する関西3空港は、地理的な特徴や機体運用の特徴が異なることから、空港内に水素を供給する複数のケースを検討できるとしている。 またエアバスは2022年から、水素社会実現へのインフラ検討で川重とも協力。川重は空港内のハイドラントシステム(航空機給油施設)の整備実績もあり、空港のインフラ整備に知見がある。 3社はエアバスの「Hydrogen Hub at Airports」プログラムの一環として連携する。同プログラムは低炭素化を実現する空港運営に向け空港インフラを調査するもので、現在までに、日本、フランス、ドイツ、イタリア、米国、カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、韓国、スペイン、豪州、スウェーデン、英国の14カ国のパートナーや空港と合意している。 水素は将来の航空機の動力となり、機体からの排出ガスを大幅に削減できるほか、地上での脱炭素化にもつながる。エアバスは2020年に、水素を動力源とする世界初の民間旅客機「ZEROe」の計画を発表し、2035年の就航を目指し技術開発や研究を進めている。 エアバスが調査した3空港での液化水素の需要予測によると、水素航空機が導入される初期段階では1日あたり数トンの液化水素が必要で、2050年ごろには1日あたり数百トンまで増加するという。また関西や周辺地域は水素産業が発展していることから、水素航空機にとって有望な市場であるとしている。
Yusuke KOHASE