「宮迫さんは炎上するつもりじゃなかったのでは」ハリウッドザコシショウが「お笑い芸人の炎上」に思うこと
ライブに向けた「リサーチ」
――すごい労力ですね。 毎回しんどいです(笑)でも、そう決めちゃったので。6回目ぐらいまでは1回だけの公演だったんですけど、やりたいことを全部詰め込んでいたら公演時間がだんだん延びてきて3時間半とかになっていたんです。そうしたら、観に来ていたなだき武さんが「面白いけど、ちょっと長すぎる。どうしても3時間半分になるなら2公演に分けたら」と言って、その次から前後編みたいな形で2公演にしました。 だんだん観に来てくれるお客さんが増えて、3公演にしよう、となったときに、同じ内容を3回やるんだったら、今よりも売れていなかった去年よりもラクをすることになるな、と思って、違う内容で3回やることにしたんです。ここが運命の別れ道だったんですけど(笑)ここから公演回数がどんどん増えていって、気が付いたら7公演分の構成を考えなければいけないことになっていました。 ――ライブの構成はお1人で考えられているんですか。 ディレクターとリサーチしながら考えています。このリサーチが結構大事なんです。その年にどんな事件があったとか、目立った有名人はいるか、とかそういうことを改めて調べます。僕の芸はコントというよりは漫才の作りに近くて、特に誇張モノマネはその傾向が強いです。 去年の単独ライブは「自転車で高速道路に入っちゃったアレンさま」とかネット寄りのネタが多くて、テレビで使えるネタがちょっと少なかったんです。それが去年の反省点でした。ネットのネタは年齢層によって知名度にバラつきがあるので、テレビでやってもMCがもともとのネタを知らない可能性があるんです。今年はそのあたりもバランス良く、構成したいです。
お笑い芸人と炎上
――SNSでバズったものから、ワイドショーで取り上げられるようなものまで、誇張モノマネは扱うネタが幅広いですよね。 気になったものはとりあえず何でもやってみます。ライブはテレビよりもコンプライアンスが低いので、ウケたものは片っ端からやります。テレビでやるネタももちろんやりますけど、テレビでは絶対にやらない過激な表現のネタもやります。 炎上してしまうかもしれない、とかコンプライアンスに引っかかるかもしれないみたいなことはネタを作る段階ではあまり重く捉えていないです。テレビでやるネタを精査する、という段階で考えています。 ――お笑い芸人の方にとってもネット上での「炎上」というのは身近な話題になっているのではないか、と思うのですが、そのあたりについてはどうお考えですか。 不倫とか犯罪とかそういう倫理観に欠けるようなことはまた別の問題として、それ以外のことでも炎上は基本的にはしないほうがいいと思っています。YouTuberの方だと炎上をすることで有名になって再生回数を稼ぐみたいなこともあるのかもしれないですけど、テレビで知名度を上げていったようなお笑い芸人の場合だと炎上するメリットがほとんどないんです。 例えば最近だと、粗品の発言に呼応した宮迫さんの発言が炎上しましたけど、あれも宮迫さんは炎上するつもりじゃなかったんじゃないかな、と思うんです。ほんとうはプロレスみたいに面白い喧嘩をやりたかったけど、思惑が合致しなくて、やり取りがうまくいかなかっただけなんじゃないかな、という気がしています。テレビだと喧嘩ネタをするにしても、事前に打ち合わせがあったり、やり取りの下地があったりして思惑が合致しやすいんですけど、テレビの枠を超え出たところで活動をするとそうもいかないんだろうな、と思います。 記事後編は「ハリウッドザコシショウが明かす、『電気グルーヴから受けた影響』と『芸人ファンコミュニティの功罪』」から。
現代ビジネス編集部