流出する日本の人材

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日本の漫画家やアニメのクリエイターは薄給にあえいでいる。マンガ家の場合、成功すれば莫大な富を得られるため、数少ないジャパニーズドリームではある。しかしアニメの場合は制作会社が主体となるため、現状では収入が増える可能性は低い。 「中国のアニメーション会社だったり。韓国のウェブ会社とかにも引き抜かれています。日本の漫画家さんやアニメーターの引き抜きはいっぱいあります。たとえば韓国の制作会社が私に、日本のクリエイターに会わせてくれって言ってくるんですよ。私は日本が拠点ですから、韓国の企業から頼まれます。それで引き会わせると、名刺交換しますよね。その名刺をヘッドハンティングの会社に渡してヘッドハントしてくれっと。アニメーターと名刺交換して、自分から引き抜くとちょっとあれだから、ヘッドハントの人に渡して、ヘッドハントの人はクリエイターと喫茶店で会って、あなたを気にしている会社があるんでどうですか？ そういう交渉して引き抜く」 提示される給料は、日本のおよそ3~4倍だそうだ。それは引き抜かれるだろう。労働環境も違う。ドラマの場合、日本では一つの現場が終わると次の現場へみんなで移動、ゼロから現場を起ち上げる。その間、役者は待ちぼうけだ。なぜそんな非効率な作り方になるのかと言えば、金がないからだ。 韓国では制作チームを2つ3つに分け、現場の立ち上げを同時に行う。役者はAの現場が終わればBの現場、次はCの現場というように、効率よく動ける。拘束時間も短くなり、クランクアップまでの時間も圧倒的に早い。日本のドラマは時間ばかりかかって非効率であり、生産性が低いのだ。 クリエイターをもっと支援してほしいと高氏。 「日本の会社も政府もクリエイターの価値を知らなすぎるんです。クリエイター本人も社会も。本当に日本のクリエイターって。このままいったらみんな引き抜かれますよ」 失われた30年、半導体や家電で起きたことがアニメなどクリエイターの分野で起きている。さすがにこれを繰り返すのは愚かだろう。政治から企業まで、早急に対策をすべきであり、コンテンツ産業を基幹産業の1つとして社会の中で位置づけ直す必要がある。 今さらDXなどと言ってる周回遅れの日本の政治や産業には幻滅する。重厚長大の時代はとっくに、半世紀も前に終わっているのだ。 ※高:高 榮郁(コウ　ヨンウ)
ロケットスタッフ株式会社　代表取締役社長 プロフィール:2000年、韓国の大学を中退し来日(当時20歳)、ソフトバンクグループ(MOVIDA JAPAN)やモバイルゲーム会社にて新規事業など担当し、2010年、ロケットスタッフ株式会社を創業。電通が調査した「NIPPON通15名」に選定。

著書:トークンエコノミービジネスの教科書