岸田首相、訪米の外交的成果をアピール-韓国とは引き続き連携
(ブルームバーグ): 岸田文雄首相は1週間にわたる今回の訪米について外交的な成果をアピールした。一方、総選挙で与党が敗北した韓国に関しては、緊密な関係を維持することを約束した。
日本の首相として9年ぶりとなる米公式訪問では、日米の防衛協力の強化や、威圧的行動を強める中国に対抗してフィリピンとのより強固な同盟関係を構築する構想が打ち出された。13日に帰国の途に就く岸田首相はまた、米企業に日本への投資を呼び掛け、日本が最大の対米投資国として同国経済にプラスの影響を与えていることを強く訴えた。
岸田首相は現地時間12日夜、ノースカロライナ州で記者団に対し、日米が目指す将来の在り方へのメッセージを「米議会、米国民、さらには世界に向けて伝えることができたと感じている」と語った。
岸田首相は今回の訪米を総括する中、韓国の尹錫烈大統領の与党陣営が総選挙で敗北したことによる影響についても問われた。日韓両首脳は米国との関係をより緊密にしている。韓国では2019年以来となる日中韓首脳会談の5月開催に向けた調整が進められている。
岸田首相は「日本と韓国は国際社会のさまざまな課題に対応するために重要なパートナーであり、大切な隣国だ」と述べた一方、選挙についてはコメントを控えた。「引き続き連携をし、重層的に拡充していくことは双方の利益である」との考えを示した。
今回の訪米は、元閣僚含む39人の自民党議員を処分する原因となった党の政治資金問題も背景に低迷する政権支持率の回復に役立つかもしれない。処分を受けた1人で、離党勧告を受けた塩谷立元文部科学相は、再審査を請求するとともに、党首として岸田首相の責任も問われるべきだとの考えを示したと報じられている。
12日の会見で岸田首相は、政治資金規正法について、改正案を自民党としてまとめていく考えを示した。解散総選挙の可能性について問われると、「政治の信頼回復と経済をはじめとする先送りできない課題に取り組んでいく。今はそれに専念するのみ」と語り、「それ以外のことについては考えておりません」と述べるにとどめた。