新型アコードはホンダらしさを取り戻せるのか? 注目の走りの“深化”に迫る
新型ホンダ「アコード」が搭載するハイブリッドシステム「e:HEV」が、大きく進化した。大谷達也がリポートする。 【写真を見る】新型アコード細部を徹底チェック(45枚)
e:HEVの仕組み
e:HEVは、様々なハイブリッドシステムのいいところだけを組み合わせたようなホンダ独自のテクノロジーである。 その基本は、エンジンで発電した電力をモーターに供給し、このモーターのチカラで車輪を駆動するシリーズハイブリッドと呼ばれる方式。これは、走るのに必要な力とエンジンの負荷を切り離すことができるため、効率が高い領域だけでエンジンを動かして燃費を改善し、CO2削減に役立てる技術である。 しかし、このシリーズハイブリッドにも弱点がある。たとえば、モーターは高回転域で使用すると効率が低下するため、高速走行時には通常のエンジン車よりも燃費が悪くなる恐れがある。 そこでホンダのe:HEVは、高速走行時に限ってエンジンと駆動輪を直結。モーターを経由せずに駆動力を伝え、高速走行時の燃費の改善を可能にしたのだ。 シリーズハイブリッドのもうひとつの弱点が、クルマとしての最高出力がモーターの最高出力となる点。たとえば100psのモーターを積んでいたら、クルマとして出力できるのも100psとなってしまう。正直、最近の普通車や小型車で100psは非力だろう。だからといってもっと大きなモーターを積めば重量が増してしまううえに価格も高価になる。悩ましいところだ。 そこでe:HEVは、大パワーが必要なときはモーターにくわえてエンジンの力も駆動輪に供給することで、一般的なシリーズハイブリッド以上のハイパワーを実現している。つまり、仮にモーターが100psでエンジンも100psだったとすると、両方をあわせればおおよそ200psの出力を得られる(概略値)。それも重量やコストをほとんど増やすことなく実現できるのだ。これがe:HEVの2点目のメリットである。 また、e:HEVのメカニズムは、シリーズハイブリッド方式とほとんど変わらないくらいシンプルなため、前述のとおり重量やコスト面で有利。これは、一般的に重く大きくなりがちなシリーズハイブリッドモデルに対する大きなメリットと考えられる。