果実や果菜に甚大な被害…重要害虫・ミカンコミバエ4年ぶり航空防除へ 徳之島
鹿児島県は1日、天城町と伊仙町の調査用トラップ(わな)で、果実果菜類の害虫ミカンコミバエの雄成虫計11匹を誘殺し、天城町では採取したかんきつ類からさなぎが見つかったと発表した。伊仙町での誘殺は本年度初。徳之島では8月以降、計37匹誘殺され、果実への寄生も相次ぎ確認されたことから、島内まん延を防ぐため、航空防除を4年ぶりに実施する。 〈関連〉徳之島3町の位置を地図で確認する
天城町では10月28日に松原と兼久で計2匹、31日には再び松原で2匹誘殺した。また、年2回の侵入警戒調査で23日に瀬滝の島ミカンを採取し29日に切開したところ、さなぎが寄生していた。伊仙町では28日に目出久で1匹、31日に目出久、阿三、検福で計6匹誘殺した。 初動対応として、誘殺地点の周辺でわなを増やし、誘殺板を設置、殺虫剤をまいた。半径2キロ内の寄主果実は採取して今後調査する。さなぎが見つかった天城町瀬滝では、半径1キロ内の不要な寄主果実を関係者で除去し、半径2キロ内の地域住民にも自主的な除去を要請する。 航空防除は11月5日から下旬にかけて10日間程度、有人ヘリコプターで主に山間部の約1万ヘクタールに誘殺板3万枚をまく。集落や田畑、水源地は除き、国立公園の一部地域は調整中。誘殺板は縦横4.5センチ、厚さ1センチほどの板で、雄の誘引物質と殺虫剤を染み込ませている。 ミカンコミバエは体長7ミリほどのハエの一種。幼虫が果実に寄生すると腐敗し、収穫が皆無になることもある。奄美の特産品であるスモモやパッションフルーツなどの果実類、ピーマンやトマトといった果菜類全般にも寄生する。
23年度は、奄美市を含む県内7市町で雄18匹が見つかった。徳之島町と瀬戸内町では幼虫1件がそれぞれ確認された。本年度、10月末までに9市町村で計46匹誘殺された。寄主果実への幼虫などの寄生は徳之島町と天城町で計3例となった。
南日本新聞 | 鹿児島