オリオールズと合意、菅野智之「単年契約」の勝算 早い決断に自信の表れか 「長期的な戦力としてはみなされていない」厳しい声も
巨人から海外フリーエージェント(FA)権を行使して米大リーグ球団への移籍を目指していた菅野智之投手(35)が17日、オリオールズと契約合意した。1年1300万ドル(約20億円)と年齢を考慮されて単年契約となったが、今季大復活を遂げたベテランエースにはむしろ好都合だという。一体なぜか。 (片岡将) 【写真】ハワイでゴルフを楽しむ巨人・菅野と戸郷 20億円 昨季は自己ワーストの4勝。不退転の決意で臨んだ今季に15勝3敗、防御率1・67の活躍で最多勝と最高勝率、自身3度目のMVPにも輝いた右腕が選んだのは東海岸の老舗球団だった。 米ハワイに滞在して自主トレに励んでいた菅野は巨人の優勝旅行に合流し、チームが帰国するとすぐさま決断を下した。 オリオールズの公式Xは16日(日本時間17日)に日本語で「菅野 智之投手、オリオールズへようこそ!」と投稿し、加入を歓迎した。 今季サラリー総額22位の低予算ながらア・リーグ東地区で昨季の地区優勝に続き2位に入り、2年連続でポストシーズンに進出。ワイルドカードゲームでロイヤルズに敗退したものの、ここ2年は高いコストパフォーマンスでヤンキースやレッドソックスといった金満球団と渡り合っている。 今季15勝9敗でチームの勝ち頭だったバーンズがFAでの流出が濃厚な状況とあって、チームは先発強化が課題。公式ホームページの記事で、菅野を先発ローテーションの4番手に位置づけた。 2021年オフにポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦ではコロナ禍の不安定な情勢と納得のいくオファーに恵まれず、移籍は不成立に。「(21年に)行けなかったときの思いは、僕の中でずっとあった」とついに念願をかなえ、メジャーの入り口に立った。 年俸は今季の4億円から5倍増となるが、「単年契約は長期的な戦力としてはみなされていないということ」と大リーグ関係者からは厳しい声も挙がる。ただ、「もっと時間を掛ければ2年契約のオファーもあったはず。オリオールズのような低予算球団で結果を残してビッグマーケットの球団に好条件で移籍するのはベテラン選手の王道。この決断は、菅野がそれだけの自信を持っているということだろう」と、あえて単年契約を結び勝負に出たと指摘する。 17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝の米国戦に先発し、6回1失点、6奪三振。チームは敗れたが敵将のリーランド監督から「制球力に優れていて、打つのは難しかった。本当に素晴らしい」と絶賛を受けた。日本に比べて滑りやすいとされる公式球や硬いマウンドへの適応も証明済み。日本の誇るベテランエースが海の向こうで満を持して集大成を迎える。 =金額は推定