日用品だけではなく軽キャンピングカーも販売する商店…宮崎県美郷町の男性「人に来てもらえるまちに」
宮崎県美郷町に、たばこなどの日用品を扱うだけでなく、「軽キャンピングカー」の販売にも力を入れるユニークな商店がある。「商処美郷や」。同町で100年以上続いてきた商店を、町内に移住して事業承継した同県延岡市出身の江並洋さん(59)が2022年2月から運営しており、「美郷を人に来てもらえるまちにしたい」と張り切っている。(尾谷謙一郎) 【写真】テーブルや座席を配置した軽キャンピングカーの車内
9月21、22日、江並さんの店が関わる軽キャンピングカーの展示・試乗イベントが同町で開かれ、来場者が興味深く車内を見学した。
軽トラックの荷台に「シェル」と呼ばれる居住空間を積載するコンパクトな軽キャンピングカーは、アウトドアブームの流れに乗って人気が高まっている。「夫婦、友人とのレジャーや旅行のほか、災害時の車中泊にも活用できる」と江並さん。
シェル本体は標準型で幅約1・4メートル、奥行き約2・8メートル。町外の職人らに作ってもらっており価格は110万円ほど(税別)。テーブルや座席などは別料金で設置でき、車体となる軽トラも販売している。車体を含めても一般的なキャンピングカーと比べて値段が手頃であることがセールスポイントの一つだ。江並さんの店では調理スペースを載せた軽キッチンカーも取り扱う。
江並さんは延岡工業高を卒業後、東京での会社勤めなどを経て大手自動車ディーラーで約20年間勤務。起業を志して早期退社し、県事業承継・引継ぎ支援センターの後継者人材バンクに登録したところ、美郷町の商店を紹介された。
引き継いだ店は火伏せ地蔵で知られる宇納間地蔵尊近くにある。約150平方メートルの店内には酒類やたばこのほか香典袋、町特産の備長炭など様々な品が並び、毎週木曜を除く午前8時~午後7時に営業する。
なじみの客は集落の70歳以上の住民で、江並さんと世間話を楽しみながら買い求めていく。町内のスーパーが休みの日には遠方からも客が訪れる。
開業当初、町内に知り合いがいなかったという江並さん。手探りのスタートだったが、集落の集まりに積極的に参加すると住民との距離は次第に近くなった。今では下の名前の「洋」の漢字から「ようちゃん」のあだ名で親しまれている。「美郷は自然豊かで人もいい。私も健康になります」と話す。