全米の中絶禁止支持せず 各州判断とトランプ氏
【ワシントン共同】米共和党のトランプ前大統領は8日、11月の大統領選で主要な争点となる人工妊娠中絶の規制は「州に委ねられる」として各州が判断すべきだとするビデオ声明を発表した。保守派が求める全米での一律禁止への支持は表明しなかった。 世論調査では中絶の権利を尊重すべきだとの回答が多い。民主党のバイデン大統領と対決する本選で勝利するには穏健派や無党派を取り込む必要があるため、厳格な規制と距離を置いた。 トランプ氏は強姦と近親相姦による妊娠のほか、母親の生死に関わる場合は例外として中絶を容認するとし、凍結保存される受精卵(胚)を管理する不妊治療を支持する考えも示した。 トランプ氏はこれまで妊娠15週前後を境に以降の中絶を原則禁止する案への支持をほのめかしていたが、声明では禁止すべき時期についても示さなかった。 トランプ氏は在任中、最高裁に保守派判事3人を送り込んだ。最高裁は2022年、中絶を憲法上の権利だと認めた1973年の「ロー対ウェード」判決を覆した。
一方、バイデン氏は中絶の権利擁護をアピールし、女性票の取り込みを進めている。