ホンダがeモータースポーツ大会を開催した理由……HRC渡辺社長に訊く「いつかリアルなモータースポーツと繋げられたらいいと思っている」
12月10日(日)に、東京・青山のホンダ・ウエルカムプラザ青山で、HRC(ホンダ・レーシング)主催のeスポーツ大会「Honda Racing eMS 2023」のグランドファイナルが開催され、リアルレースとの”二刀流”ドライバーであるイゴール・オオムラ・フラガが優勝した。 【動画】佐藤琢磨も上手い! シミュレータでつくばサーキットをアタック! このイベントは、HRCの渡辺康治社長も訪れる力の入れようだった。イベントの最後に挨拶に立った渡辺社長は、次のように語り、eモータースポーツの可能性を感じたと明らかにした。 「eモータースポーツの中から、将来我々と一緒にF1をやるようなドライバーが出てくることを期待しております」 今回優勝したフラガをはじめ、eモータースポーツから始めてスーパーGTやスーパーフォーミュラまで辿り着いたドライバーの例はある。しかしF1に参戦したドライバーはなく、渡辺社長の言うようなことが実現したら、実に夢のある話だとも言えよう。 実際にそのような動きがあるのか? 渡辺社長に問うと、次のように語った。 「まだないです。我々としてはeモータースポーツはこれまでやってこなかったので、まずはHRCとしてホンダとして、eスポーツを盛り上げていくようなことをやっていくというのがひとつめです」 「そこからリアルなレースとの繋がりを持てたらいいなと、その延長に、今は夢のような話ですが、F1があるといいなというレベルです」 「ホンダにはHRS(ホンダ・レーシングスクール)がありますが、そこにeモータースポーツコースがあってもいいよねという話を、さっきしていました。決まったことはもちろんないのですが、どういう風にこの世界と、HRCとして関わっていくのかということは考えたいし、楽しみでもあります」 eモータースポーツは、ホンダ/HRCの業績にどう寄与すると考えているのか? それについては「まだ考えていない」と渡辺社長は言う。 「直接業績に影響するかということは、今すぐには考えていません。まずはやはり、ブランドの価値を上げていくということ。そしてそれを日本国内だけじゃなくて、グローバルに広げていくということだと思います」 「会社としては、色々な可能性は感じています」
田中健一
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