「投高打低」打破へ…「アイピッチ」や大谷も使用の最新マシン導入、「打撃検定」で地力アップ
高額機器で投手の進化に対抗
アイピッチをしのぐ高性能マシンを導入する動きもある。大リーグで普及し、ドジャースの大谷も活用している「トラジェクトアーク」を巨人やソフトバンク、楽天が導入している。
リース料金が3年間で約1億円という最新機器は、マシンの前面にあるスクリーンに投手の等身大の映像が映し出され、本物と同じ高さや角度のリリースポイントに調整された可動式の発射口からボールが飛び出してくる。データがあれば、個別投手の球速や回転、変化球の曲がり幅を再現できるという。
巨人は今季途中に東京ドームの一塁側ベンチ裏に設置した。初対戦となる投手などの球筋の確認に利用していた丸は「対戦相手のイメージがわかないことは、なくなった」と歓迎する。シーズンが進む中で各投手の球質の変化も反映させられるといい、「参考になる部分が多い。プラスはあってもマイナスはない」と語った。
ソフトバンクでは導入1年目の今季、他球団の100投手以上のデータを入力。今後は腕の振りの違いを再現するため、球種ごとに映像を切り替えたり、左右の打席から見た角度の映像を準備したりして、リアリティーを追求する。資金を投じ、手間もかけ、投手の進化に対抗していく。
フライボール見直しも
大リーグではゴロを避けて飛球を打つ「フライボール革命」がはやり、打球に角度をつけて長打を狙う打者が増えた。しかし、誰もが大谷(ドジャース)のように本塁打を量産できるわけではない。
体格やパワー、スイングスピードは人それぞれ。巨人の阿部監督は「力のない選手がフライボールをやっても限度がある。日本球界もそうなろうとしていた。だからじゃないか、『打低』なのは」とみる。
長岡「横振り」で覚醒
ヤクルトの長岡は打ち方を見直して成功した一人だ。昨季までは強い打球を右翼方向へ引っ張る意識が強く、「ボールに振り負けないように」と打球に角度をつけるスイングもイメージしていた。しかし、1メートル75、82キロの左打者にとって、あおり打ちするようなフォームで投手方向の右肩が早く開いてしまうことにつながり、打率はリーグ最下位の2割2分7厘に低迷。「これじゃ打てないと思った」