<ダンジョン飯>迷宮内の深イイ話に反響 SDGsな農業イノベーションと環境問題に「ストーリー性の巧みさに感心」との声
テレビアニメ「ダンジョン飯」(毎週木曜夜10:30-ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・Huluほかで配信)の第4話「キャベツ煮/オーク」が1月25日に放送された。センシ(CV.中博史)が普段拠点としているキャンプ地へと立ち寄ったライオス(CV.熊谷健太郎)たち。一行の目の前に現れたのは、土でできた魔法生物のゴーレムだった。今話はダンジョン内の社会問題が分かる、これまで以上にリアルなアプローチが面白い回となった。(以下、ネタバレが含まれます) 【写真】今話、名言も出るなどそのダンジョン愛に反響があったセンシ(CV.中博史) ■脱法農業で新鮮野菜を収穫 迷宮地下3階を進むライオスたち。ここにはセンシが拠点にするキャンプ地があった。墓地を抜けた先にある構造からか、地下3階はスケルトンやグールが徘徊し、食べられる魔物が少ない。そのためセンシはここを拠点に2階、4階で狩りをしているのだという。そんなセンシが発案した革新的な農法が、ゴーレム畑の野菜栽培だった。 センシが出現したゴーレムを手慣れた戦いぶりで始末すると、崩れたゴーレムの土山にはじゃがいも、にんじん、キャベツなどがきれいに育った野菜畑が残る。それの収穫後、土の手入れをするセンシ。彼は、種まき→収穫→種まきのサイクルを、ゴーレムの体を畑代わりにして行っていたのだ。ゴーレムを簡単に倒していたのも、“核(コア)”を自分で埋め、場所を把握しているからだった。 許可のない魔法生物の起動は犯罪だと怒るマルシル(CV.千本木彩花)、脱法魔法生物だと呆れるチルチャック(CV.泊明日菜)をよそに、センシは「わしはただ土を掘り返して元に戻しているだけだ」と白々しくうそぶく。センシにとってゴーレムは、とても優れた野菜畑だった。害虫は付きにくい。野菜泥棒も追い払う。水分管理も自分でしてくれる。さらに野菜が根を張ることで土が強固になるから共生関係にもなっているという。こんなゴーレムの活用法があったとは、ダンジョン内でのSDGsな農業イノベーション。 また、ここではセンシが行っている迷宮管理も明らかになった。冒険者たちが使うトイレの始末、階下からの魔物を食い止めるためのゴーレムの維持。センシによる陰ながらの努力があって、この階層の秩序や魔物の生態系は保たれていたのだ。「ダンジョンも畑も一緒だ ほったらかして恵みを享受することはできん」というセンシ。「便利と安易は違う」という名言もあり、彼のダンジョンへの愛と哲学が伝わる良いエピソードだった。 ■魔物も社会を持っている。迷宮内での異種族間の軋轢と交流 野菜を大量収穫した一行は、物々交換をするために冒険者の溜まり場へ。そこはガラの悪い冒険者や地上に戻れない曰くつきの連中がたむろする場所だった。不安が的中する形で追い出されるライオスたちだったが、そこにオークの集団が襲撃をかけてくる。あっという間に駆逐されるならず者たちだったが、ライオスたちだけは見逃される。このオークたちはセンシの顔見知りで、彼がいつも野菜の取引をしている相手だったのだ。 センシのパン作りへの一念が功を奏し、ライオスたちはオークに連行されることに。聞けば赤い竜の出現で、集落から避難してきたのだという。ここでのオークたちとの交流も、迷宮での厳しい生活を垣間見るものだった。人間やエルフに地上を追われ、逃げ込んだ迷宮内でも棲家を奪われそうになる迫害を受けている。私利私欲のためだけに迷宮を荒らす冒険者の行いはライオスにも耳の痛い話だった。 また、マルシルにしてもエルフゆえのオークへの悪感情があったが、彼らにも家族がいて、子どもがいるという生活を見て、少なからず心境に変化はあったようだ。何よりオークから振る舞われた料理は、彼らが奪うだけの種族ではないと認識させられるものだった。 ここまでの3話とは異なり、ギャグ抑え目で、農業や種族間の軋轢といった思慮に富んだテーマが描かれた今話。放送後のSNSでは、「食物連鎖な展開から人とオークの関係への話を導く、そのストーリー性の巧みさに感心」「ゴーレムを畑に農業の話題をやってて、現代農業とか生態系とか民族問題とかこんなところで考えるとは思わなかった」「食べ物を通じて、人は種族を越えて分かち合える。心が温まる良い話だった」など、共感性に打たれたコメントが相次いで寄せられていた。 ■<今週のレシピ>※原作より 【ゴーレム畑の新鮮野菜ランチ】 丸ごとキャベツ煮(4人分): キャベツ――1玉 にんじん――2本 じゃがいも――大4個 タマネギ――中2個 厚切りベーコン――8枚 塩・胡椒――適量 水――多めに かぶのサラダ(4人分): かぶ――中2個 にんじん――少量 にんじんの葉――適量 オリーブオイル――適量 塩――少々 【盗れたて野菜と鶏のキャベツ煮~略奪パンとご一緒に~】 ピリ辛鶏と丸ごとキャベツ煮(3人分): キャベツ(盗品)――1玉 鶏肉――400グラム にんじん(盗品)――2本 タマネギ(盗品)――中2個 とうがらし 塩・胡椒 水 パン(3人分): 強力粉(盗品)――250グラム 水――160ミリリットル パン種(盗品) 砂糖 塩 オリーブオイル クレープ(1人分): 小麦粉(盗品)――60グラム 塩 水 オリーブオイル ■文/鈴木康道