主砲も感服「練習であれやってるんすよ」〝準備の鬼〟が見せた集大成 ソフトバンク川瀬晃のチームを救うスーパープレー
ソフトバンクの選手が今季を振り返る年末恒例プレーバック企画「鷹戦士あのプレー」。第9弾は川瀬晃内野手(27)だ。プロ9年目の今季は、主に守備固めとして自己最多の105試合に出場。捕手以外の全ての内野を守る〝スーパーサブ〟は、幾度となくチームを救った。その中でも「すごく印象に残るプレー」として挙げたのは、クライマックスシリーズ(CS)での、あのワンプレーだった。 ■「あの小さかった真凜ちゃんが…」秋山幸二さん長女が花嫁姿【写真】 「自分でも興奮し過ぎて、記憶があまりない。ユーチューブとかで映像を見て、こんな歓声があったんだと」。何度も動画を再生するほど自画自賛のプレーは、10月16日、日本ハムとのCSファイナル初戦で生まれた。 日本ハムとは9月以降、レギュラーシーズンで6度対戦して1勝5敗と大きく負け越していた。日本ハム対ロッテのCSファーストステージでは、ロッテが先に1勝。後がなくなった日本ハムは、そこから2連勝して勝ち上がってきており勢いがあった。川瀬は「嫌な印象はもちろんありましたけど、僕たちも久しぶりの試合だったんで、もうやってやるじゃないけど、気合がみんな入ってた」と振り返る。 この試合は2回に連打で1死一、三塁のチャンスを作ると、正木智也の左前適時打で幸先よく先制した。ただ、日本ハムも黙ってはいない。直後の3回、先発の有原航平が連打と犠打で1死二、三塁とされると、続く打者に内野安打を許し、同点に追いつかれた。なお、1死一、三塁のピンチで、相手バッターボックスには2022年の首位打者・松本剛。それでも二塁を守る川瀬は冷静だった。「内野ゴロが来そうな雰囲気はあった。有原さんはコントロール良いから、ほぼ低めに集めるし。あと、あの場面で有原さんも(甲斐)拓さんも、絶対ゲッツーを狙う配球をしてるなっていうのは感じた」。 予想は的中。二遊間への速いゴロが飛んできた。川瀬は横っ跳びでキャッチし、横たわりながら素早く右手に持ち替えて今宮健太にトス。今宮は捕球後にくるりと1回転して一塁に送球し、4―6―3の併殺を完遂させた。 本拠地はこの日一番の大歓声。川瀬はぽんっとグラブとたたいた後、右手でガッツポーズを作り、雄たけびを上げた。「1年間、練習でやってきたことが全て出せたプレーだった」。今宮とのハイタッチを忘れるほど、夢中でベンチに戻った。 あのプレーは入念な準備から生まれたものだった。山川穂高はその過程をこう話す。「(川瀬)晃はすごいっす。練習であれやってるんすよ。あんぐらいの集中力持って、ノックを普段から受けてる人はまずいないので、そこがやっぱすごいなって。あれだけ準備してるからできる。素晴らしいと思います」。毎日行われる約2時間の試合前練習。途中出場が多い川瀬は「自分にムチ打つところは練習しかない」と、さまざまな場面を想定しながら、一切手を抜かずにやってきた。「球際は(春季)キャンプの時からずっと練習してきましたし、本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチ、奈良原浩ヘッドコーチから口酸っぱく言われてきたところなので、すごく大事な試合でああいうプレーができたのは今後の自分のプラスになる」と振り返る。〝準備の鬼〟が見せた1年間の集大成だった。 来季は節目の10年目を迎える。契約交渉後の会見では「また1からレギュラーを目指して頑張っていきたい」と意気込みを語った。今オフは初めてオリックス川瀬堅斗と兄弟自主トレを行う川瀬。入念な準備の先には、念願のレギュラーがあるはずだ。(大橋昂平) 【#OTTOソフトバンク情報】