障害者や高齢者も楽しめる「デュアルスキー」 長野で試乗会
THE PAGE
障害者や高齢者、スキーの未経験者でも雪のゲレンデが楽しめるデュアルスキー(着座式スキー)の試乗会が長野県飯綱町(いいづなまち)のスキー場であり、スポーツや旅行の機会を広げる試みとして注目されました。専用のスキーはフランス製で、長野県内への導入はまだ2台。この日はゲレンデの関心を集め、試乗を申し込むスキー客もいました。
スキー板に「座席」、後ろに「操縦者」も
試乗会は20日に行われ、イベント会社オフィスKOBA(長野市)が主催、支援団体やスキー操縦の指導者らがサポートしました。 デュアルスキーは、スキー板に座席を取り付け、後ろにあるパイプのハンドルをもう1人が支えて滑る専用のスキー。本格的なサスペンション(緩衝装置)も付いています。後ろでコントロールする人はパイロットと呼ばれ、スキーを操縦するための訓練を十分に積んだ専門家。
試乗会では10人ほどが順番に滑走を経験。特殊な乗降機能を持つデュアルスキーはそのままリフトに乗り、ゲレンデのトップからゆっくり滑降しました。後ろに付いたパイロットがきっかけを与えると左右にカーブすることができ、慣れると自分でコースを取ることができます。 試乗した人は「スムーズで楽しかった。振動や恐怖感などはまったくない」と話していました。ゲレンデに出ようとしたスキー客らの関心も集め、中には「試乗してみたい」と申し込む若者もいました。
オフィスKOBA社長の小林美彦さん(60)によると、デュアルスキーは長野県富士見町の八ケ岳山麓に展開する富士見高原リゾートが2台導入。今回はそのうちの1台を借りてサポートを得ながら試乗会を開きました。 小林さんは6年前に脳出血で左半身がまひ。それがきっかけで「障害者などが旅やスポーツ、自然を楽しむ機会がつくれないだろうか」と考え、今回の試乗会を計画しました。「障害者スキーの大会などさまざまな機会をとらえてデュアルスキーを紹介していきたい。障害者、健常者を問わず楽しめることを広く知ってもらいたい」と話しています。