WS開幕。第3戦直訴のド軍ダルビッシュは「深く考えていない」と脱緊張
しかしながら、ここに至る過程では、それなりにワールドシリーズを意識したはずである。 ドジャースは今季、早くからワールドシリーズをゴールに据えた。戦力的に足りないとしたら、クレイトン・カーショウに続く、先発投手の存在。白羽の矢が立ったダルビッシュは、チームがワールドシリーズに出場し、そして制覇するファイナルピースとして請われたのである。 アストロズで見れば、8月31日のトレードで移籍してきたジャスティン・バーランダーが同じ立場で、野球では一人の力で出来ることは限られているとはいえ、ヤンキースとのリーグ優勝決定戦では、彼の鬼気迫るピッチングが、アストロズをワールドシリーズに導く原動力になった。 結局、ダルビッシュにもそうした役割を求められ、プレーオフでは、地区シリーズ、リーグ優勝決定戦ともにドジャースが相手を圧倒したため、バーランダーほど存在を問われることはなかったものの、そうしたケースを見据えたからこそ、ダルビッシュは8月中旬からリスクを承知でフォーム修正を試み、自分を追い込みながら、より安定感のあるスタイルを追求したのである。 ちなみに、そのフォームに関して、答えが見えたのは9月13日のジャイアンツ戦のこと。 「ゴールに着くための“最後のピース”が何かが見えてなかったけど、ある程度、最後の最後でわかった」 するとその9月13日以降、ダルビッシュは5試合(プレイオフ2試合含む)に先発し、30回2/3を投げて、17安打、4失点(自責3点)、防御率0.88と相手を翻弄するようなピッチングを続けている。 チーム全体がいいために目立たないが、彼がファイナルピースを見つけた時、彼自身が、ドジャースにとってファイナルピースとなったーーその意味でその2つは、異なるようで、同義だったのかもしれない。 なお、第3戦に先発後、次があるとしたら最終の第7戦。ダルビッシュとしても、そこまで想定して準備している。決して低くはないハードルを超えるために。 ワールドシリーズは24日(日本時間25日)に開幕する。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)