JAL、24年3月期最終益955億円で増配 25年3月期は1000億円見込む
日本航空(JAL/JL、9201)が5月2日に発表した2024年3月期通期連結決算(IFRS)は、純利益が前期(23年3月期)比2.8倍の955億3400万円だった。大幅な増収増益を達成したとして、年間配当は1株75円(配当性向34.3%)に増配する。2025年3月期の通期業績予想は前回発表を据え置き、純利益は2024年3月期比4.7%増の1000億円を見込む。 グループCFO(最高財務責任者)の斎藤祐二副社長は、旺盛なインバウンド(訪日)需要に支えられている国際線の旅客需要について、日本発の回復状況は「出張需要がまだ(コロナ前の)6割を超えるくらいのレベル感」と述べ、世界的に見て日本のアウトバウンド(出国)の回復遅れが目立つという。「下期の計画は日本発の出張需要を期待している。年度末に70%くらいに回復するシナリオ」(斎藤副社長)と、10月以降の日本発需要の回復に期待感を示した。 ◆24年3月期 2024年3月期の売上収益は前期比20.1%増の1兆6518億9000万円、本業のもうけを示すEBIT(財務・法人所得税前利益)は2.2倍の1452億3500万円と増収増益。JALは2021年3月期からIFRS(国際財務報告基準)を適用している。 売上高にあたる売上収益のうち、JALを中核とするFSC(フルサービス航空会社)事業が19.4%増の1兆3237億円。このうち、国際旅客収入が49.1%増の6223億円、国内旅客収入が22.1%増の5508億円、貨物郵便事業が40.7%減の1333億円だった。 国際線は旅客数と旅客収入が前期比約1.5倍となり、単価がほぼ想定通りの高水準を維持し、国内線は旅客収入が約1.2倍となった。国際貨物はコロナ影響の収束とともに需要減退がみられるものの、EC需要の取り込みや医薬品など高付加価値貨物を重視したことで、コロナ前2019年度比では輸送重量が約7%増、収入は約1.7倍になった。 斎藤副社長は、国内線旅客について「コロナ前の94-5%位。出張需要が75%くらいで、レジャーは100%を超えており、合わせて94-5%位だ」と説明。出張需要の回復が鈍い点について「ニューノーマルの需要動向だと思う。地域と連携し、地方の魅力あるところへ送客したい」と、訪日客の地方送客などで補っていく考えを示した。 ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)を中核とするLCC(低コスト航空会社)事業は、旅客収入が1.8倍の673億円で、LCC事業のEBITは黒字化。また、非航空系事業となるマイル・ライフ・インフラ事業の売上収益は10.4%増の2608億円で、傘下の商社JALUX(ジャルックス)の収入増や、海外航空会社のグランドハンドリング業務の受託便増加などが奏功した。 今年3月21日に発表した通期連結業績予想を実績が上回ったことから、期末配当案を従来の1株40円から45円に増配し、年間で同70円を75円に引き上げた。 ◆25年3月期予想 2025年3月期通期の業績予想は、前回3月21日の発表から据え置いた。売上収益が1兆9300億円(24年3月期比16.8%増)、EBITが1700億円(同17.1%増)、純利益は1000億円(同4.7%増)を見込む。配当は中間と期末が1株40円ずつ、年間で同80円(配当性向35.0%)となる見通し。
Tadayuki YOSHIKAWA