コメ高騰、苦慮 芝寿し、11月値上げ 食品・飲食店、仕入れ値1.5倍に
北陸の食品産業や飲食店が高止まりが続くコメの価格の影響を受け、その対応に苦慮している。芝寿し(金沢市)は11月から、主力商品「笹寿し」の価格を引き上げることを決めた。笹寿しの値上げは2021年以来3年ぶり。新米が出回りだしたものの、各社の仕入れ価格は前年比で1.5倍程度とみられ、既に原料やエネルギー価格の高騰を受けて値上げしてきた会社からは「数カ月に一度のペースで上げるのは消費者の理解が得られない」との声が上がる。 芝寿しが価格を改定するのは弁当、年末年始のオードブルなどに定番品として入る個包装の笹寿しで、価格は1個当たり5~10円引き上げて150円とする。10個入りは95円アップの1420円となる。 同社では、2024年産米が流通し始めた段階でのコメの仕入れ価格が、前年比で5割以上高くなると想定しており、コストと品質のバランスを維持するため、新たな産地からの仕入れ、コメのブレンド比率の見直しを検討している。 実際、今夏は全国的なコメ不足の影響で、石川県産コシヒカリの新米は前年よりも2~3割高い10キロ5千円前後で店頭販売がスタート。燃料や肥料価格も上がって農家の経営は苦しさを増しており、高止まりの傾向は当面続くとみられる。 コメを大量に消費するカレーやすしのチェーン店も同様の状況だ。 チャンピオンカレー(野々市市)は、今年の新米に切り替わるタイミングで、仕入れ値が1キロ当たり200円程度、前年比では約1・5倍の水準になった。 まとまったコメの量が必要になるため、安い仕入れ先があったとしても、すぐに切り替える判断は難しいとし、担当者は「味が変化してお客さんから不満が出ないよう、コメ以外の材料でどうにかコストを抑えられないか取り組んでいる」と述べた。 ゴーゴーカレーグループ(金沢市)、回転ずしチェーン「すし食いねぇ!」を運営するドマックス(白山市)でも仕入れ値が徐々に上がっている。 「すし食いねぇ!」では昨年すしの価格を改定したばかりで、担当者は「これまで価格転嫁してきた中で、さらなる値上げにはなかなか踏み切れない」と嘆いた。