知られざる遠洋漁業 日本の食を支えている外国人船員たち
船舶船員も日本人不足?
彼ら外国人船員を雇っているのは日本の船会社。船会社は、外国人船員をメディアが取材することにあまりいい顔をしない。理由の一つに消費者の目があるという。もう一つは、外部には知られたくないグレイな部分が外国人船員の雇用にあるからのようだ。 例えばインドネシア人の船員は、研修生として訪日し、日本で漁業の研修を受けた後、日本船に雇用されている。キリバス人とは異なり、漁業や言葉の教育がされているため、船会社としても安心感があるようだ。ただし、日本での研修の本来の趣旨は本国に帰って仕事をすることにある。 国は日本で研修を受けたインドネシア人船員が日本船で仕事をすることを見て見ぬふりをしているが、メディアに出ることで批判が起きるのではないかと船会社は懸念しているという。
漁業関係者の間には、国が日本人漁業者を育成してこなかったとの不満が根強くある。「昔は中学を出て16、17歳で船に乗ったものだが、今の若者で遠洋漁業船に乗る者は100%いない。仕事がないのなら船に乗れと言いたいが、仕事がなくても乗ることはない。国が若者を甘やかしてきたからだ」と嘆息交じりに話す漁業関係者もいる。「日本人よりも外国人の方がいい。外国人船員はよく働くからね」と船会社オーナー。 しかし、遠洋漁業船の日本人船員不足は一般船員にとどまらず船舶船員にも及んでおり、船会社間で引き抜きが行われているとも言われる。外国人が日本の遠洋漁業を担う、そんな時代がくるのだろうか?