立山など自然の魅力と新幹線効果? 長野、石川で外国人宿泊が3割増
長野、石川など北陸信越4県の昨年1月から8月までの外国人の宿泊は、前年同期に比べ23%も増え、特に長野、石川両県で目立っていることが国交省の調査で分かりました。来日外国人観光客は昨年10月に初の年間2000万人を突破しましたが、リピーターの増加などで地方観光へ足が延びていると見られ、関係県は周遊観光への誘導など対策を強める方針です。
北陸信越4県とも台湾からがトップ
国交省北陸信越運輸局が昨年11月にまとめた新潟、長野、富山、石川の管内4県の昨年1~8月の外国人宿泊者数(延べ)は合わせて163万人で、前年同期比23.3%の増加。目立つのは長野県の86万人泊で31.0%増。次いで石川県の44万人泊29.3%増、新潟県19万人泊4.8%増。富山県だけ14万人泊の2.0%減少でした。 2015年3月の北陸新幹線金沢延伸で高まった沿線観光も落ち着きを見せ、昨年8月の4県の延べ宿泊者数(国内客、外国人合計)は前年同月比で6.0%の減少。1~8月も同2732万人で4.1%減となっているのに比べ、外国人宿泊者の増加ぶりが目立ちます。
1~8月の外国人宿泊者の国別を見ると、台湾からが石川県で4割近い37.9%を占め、長野県で36.8%、富山県34.5%、新潟県23.9%と4県とも構成比でトップを占めているのが大きな特徴。次いで中国、香港、オーストラリアなどですが、中国は新潟県で18・3%と、10%前半の他県より高い比率でした。 長野県観光部国際観光推進室は「長野県から県境にかけての立山アルペンルートなどが特に人気で4~6月は雪や平野部の桜の見物などが大変にぎわう」と、長野県はじめ各県の自然の魅力が誘因力と指摘します。加えて北陸新幹線の金沢延伸が行動範囲を広げ、各県にわたる周遊コースも利用されているようです。
日本の旅に慣れ始めた観光客増に期待
台湾、香港からの観光客で最近目立つのが個人のツアー。目的地を訪れるだけではなくサイクリングと組み合わせるなどテーマ性を持たせた旅行に仕立てる工夫も見られ、リピーターの広がりがうかがえます。 このため長野県などは隣接県にまたがる周遊コースの充実で、日本の旅に慣れ始めた台湾など外国人観光客の宿泊数の増加を期待する方針。上越新幹線が走る新潟県は外国人のスキー客の増加がみられるとして北陸新幹線とリンクさせて首都圏からの誘客に力を入れています。「各県の競争ではなく、広域周遊で各県を旅してもらうことが隣接県の共通の課題」(長野県・推進室)としています。 受け入れ対策として外国人向けの案内表示の充実や「Wi-Fi スポットの整備費用の一部助成」(新潟県)などきめ細かい外国人観光客対策も動き出しており、地方の外国人誘致の対策が本格化しそうです。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説