東京都医師会「医療は人で成り立つ」 「設備さえあれば」の論調にくぎ
東京都医師会は30日、記者会見を開き、新型コロナウイルスの軽症患者らが利用する宿泊療養施設での取り組みなどについて会長、副会長らが説明した。その後の記者会見で、記者から「日本財団が船の科学館を(医療場所として)提供するとしているが、使わないのか」と問われると、尾崎治夫会長は「人がいて医療が成り立つ」と述べ、医療用の施設や機器が整っても医療現場は回らないと訴えた。 【会見ノーカット】東京都医師会が会見「コロナ専門病院」の開設提言
尾崎会長は「例えば体外式膜型人工肺=ECMO(エクモ))の数がいくつか、人工呼吸器が足りないから増やすとか、PCRセンターができさえすれば何でもできるとか。そこに携わる医師、ナース、臨床検査技師、事務の方とか全ての支える人がいて医療は成り立つ」と説明。 さらに「いまの政府あるいはマスコミの取り上げ方は、設備さえ整えば何でもできるみたいな論調が非常に多い。ドクター(医師)もナースもコメディカル(医師などを除いた医療従事者)の人もどんどん削減してきたような状態で、今になって『設備だけ作ってやるから、あとはどんどん君たちやりなさい』といっても無理です」と強調した。 尾崎会長は、現場で働く人を含めた体制を構想する必要性を訴えたうえで、「そういう新しい発案があっても、そこにどういう方をどう配置した方が良いのか。そこまでみなさんもお考えいただいて記事なりを作ってもらいたい。よろしくお願いします」とした。 会見では、猪口正孝副会長も「日本全国でいま医療を必要としている状況のときに、どこの誰がそこに行って(医療を)行うのかが見えていないので、可能なのかどうか私には今のところ分からない」と同調した。