【米大統領選2024】 ベゾス氏、ワシントン・ポストの大統領候補支持表明中止を擁護
アメリカの主要紙ワシントン・ポストを所有するジェフ・ベゾス氏は29日、11月5日の大統領選に向け、特定の候補者を支持しないという同紙の判断を擁護した。 この判断は議論を呼んでおり、すでに数千人が購読をやめたほか、社内でも一部の編集スタッフが辞職したという。 米通販大手アマゾンの創設者でもあるベゾス氏は、同紙ウェブサイトに寄稿。その中で、新聞による大統領候補の支持表明は「偏見の認識」を生み出すもので、選挙の「行方を左右する」ものではないと説明した。また、この動きは信頼性の向上につながる可能性があると述べた。 「ペンシルヴェニア州の投票先を決めていない有権者が、『新聞Aの支持に従おう』と言うことはない。絶対にない」 「支持候補の表明が実際に引き起こすのは偏見の認識だ。独立性がないという認識だ。それをやめることは原則に基づく決断であり、正しい決断だ」 ワシントン・ポストは1970年代から、ほとんどの大統領選で特定の候補への支持を表明してきた。しかし同紙のウィリアム・ルイス最高経営責任者(CEO)は、今回の決定を「この新聞のルーツに戻る」ものだとしている。 同紙従業員を代表する労組幹部は、経営陣のこの決定を「深く憂慮」すると述べた。 「すでに、長年の愛読者が購読を中止している」と、労組は声明で述べた。「読者の信頼を失うのではなく築くべき時において、この決定は組合員の努力を台無しにするものだ」 米NPRの報道によると、ワシントン・ポストはすでに20万人ものデジタル購読者を失った。また、役員を含む複数の編集スタッフが辞職した。同紙はコメントを控えており、ベゾス氏もこの報道について何も語っていない。 一方で同紙はこの決定に関する独自のニュース記事で、一連の出来事について説明を受けたものの、公に話すことは認められていない関係者2人の話として、編集スタッフらは民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を支持する記事を掲載する予定だったが、それが実現することはなかったと報じた。 ベゾス氏は、この決定のタイミングが「意図的な戦略」であったことを否定し、「不十分な計画」のせいだと弁明した。 「選挙とそれに関する感情から離れた時期に、もっと早く変更を行っていればよかった」と、ベゾス氏は寄稿の中で述べた。 その一方で、ワシントン・ポストが競争力と勢い維持するには「新たな筋肉を鍛える」必要があると述べた。 ベゾス氏はまた、この決定がハリス候補や共和党候補のドナルド・トランプ前大統領に対する「何らかの見返り」であることはないと述べた。 ワシントン・ポストに加え、ロサンゼルス・タイムズとUSAトゥデイも、今回は特定の大統領候補を支持しないことを発表している。 一方、ニューヨーク・タイムズはハリス候補を、ニューヨーク・ポストはトランプ候補を、それぞれ支持している。 (英語記事 Jeff Bezos defends Washington Post's end to election endorsements)
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