リンゴ産地長野 お歳暮の時季、贈答用の予約打ち切る理由とは
春の凍霜害、夏の猛暑、さらに秋の高温で
長野県内の直売所などで今季、色や形、大きさなどに優れた贈答用リンゴが品薄となっている。県によると、春先の凍霜害や夏の猛暑などの影響で、小ぶりで色づきも良くない実が多いためだという。お歳暮などで需要が多いだけに、売る側は頭を抱えている。 【写真】品評会場に並ぶサンふじ
「例年は100点以上は並ぶが…」
11月27日、長野市篠ノ井岡田の共和園芸農協。地域の生産者が作ったサンふじの品評会が開かれていた。並んだのは真っ赤に色づいた大ぶりの67点。「贈答用になる最上級のランクの『特秀』の中でも、さらに良いものばかり」と滝沢徳治組合長(73)。ただ、「例年は100点以上は並ぶが…」とつぶやいた。
収量や形、色づきに影響
県果樹試験場(須坂市)によると、県内のリンゴは今年、春先の凍霜害で花がダメージを受け、収量が減少したり、きれいな丸形になりにくかったりといった影響が出ている。そこに夏の猛暑と秋の高温が加わり、標高の低い地域を中心に色づきがあまり良くないという。
「味は間違いなくいいんですが…」
共和園芸農協での品評会で審査委員長を務めた同試験場長、笹脇彰徳さん(60)は「味は間違いなくいいんですが…」と言った。 共和園芸農協では今季、贈答用リンゴは予約販売としたが、11月10日で受け付けを締め切った。贈答用に適したものが少ないためだ。この日に直売所に並んだサンふじで最もランクが高かったのは特秀、秀に次ぐ赤秀。福井県勝山市から来ていた女性(72)は赤秀を1箱購入した。「本当は特秀が良かった。でも仕方ないですね」と残念そうだった。
需要に応えられないのは残念
下伊那郡松川町の原りんご園は10月で贈答用のサンふじの予約を締め切った。今年は味は良くても、雨が少なかったことも影響して小ぶり。色づきも良くないものが多いという。「北信の直売所に問い合わせたが贈答用がなく、南信で探してみてはと言われて問い合わせてきた人もいる」と同園。「楽しみにしている人の需要に応えられないのは残念」とする。
予約販売はやめ、店頭販売のみ
あづみ農協(本所・安曇野市)が安曇野市で運営する直売所「安曇野スイス村ハイジの里」でも今年は贈答用が少なく、予約販売は既にやめて店頭販売のみとしている。問い合わせは多く、同直売所は「店頭に出せばすぐ売れる」とする。今月初旬には出せる分はなくなるとみられ、「欲しい人は早めに来てほしい」と呼びかけている。