昨年末は紅白出演でも話題…伊藤蘭、全国ツアー開催「今この瞬間を楽しみましょう、を伝えるコンサートに」
「自分はいつも、成熟の手前にいたいんです」
──そう考えると「風にのって ~Over the Moon」「大人は泣かない」は、伊藤さんが音楽面で目指している方向性がかなり表れた2曲なのではないでしょうか。 具体的に「こういうものが好き」と定まってはいないのですが、好きな方向性は確かになんとなくあり、そちらを向いてやっていこうというのはあります。ただ、これは「風にのって ~Over the Moon」の私なりの楽曲解釈にも繋がるのですが、こだわりを持ちすぎず、できるだけ自由にやっていきたい気持ちはあります。 私は自由を感じる瞬間が一番好きで、それによって心がちょっとだけ高みにいけるんです。こだわりを持ちすぎると動けなくなっちゃうので、できるだけそういうものは手放して、なにごとも開放的な気分で進んでいます。 ──なるほど。 あと私自身、達観したくないところもあって。成熟したら枯れるだけ、というのが人の常。でも自分はいつも、成熟の手前にいたいんです。そんなだから、私はすっかり大人ですけど、総体的には大人になりきれていません。年齢だけ重ねて、中身は幼い頃から大して変わりがないんです。
「特別なプレゼントのように感じた」紅白出演
──しかしそれが楽曲含めて、新鮮さが失われない秘訣な気がします。そういった魅力が、フレッシュな顔ぶれが揃っていた2023年末『第74回NHK紅白歌合戦』のなかにあっても、非常に目立っていたというか。 昨年の『紅白』は素敵なシチュエーションを作っていただいて、特別なプレゼントのように感じました。スタジオでバンドとともに出演させていただき、ファンのみなさんもその場にいらっしゃって。みなさんの応援も楽曲やステージを彩る大切なものの一つなので、『紅白』という場でそういった光景を全国の方にご覧いただけたのは本当にうれしかったです。
「今この瞬間を楽しみましょう」を伝えるツアーに
──8月25日の大阪「フェスティバルホール」での公演を皮切りにスタートする『伊藤 蘭 ~Over the Moon~コンサートツアー 2024-2025』には、『紅白』などをきっかけに伊藤さんの魅力に改めて触れた方も来場するのではないでしょうか。同ツアーは、どういう内容になりますか。 「Over the Moon」という言葉は、「月も超えるほど楽しくうれしい気持ち」という意味があり、音楽を通じてお客さまとドキドキワクワクするような楽しい時間を共有出来たらうれしいです。 新曲はもちろんのことソロ曲と、みなさんおなじみのキャンディーズのナンバーもたっぷりやります。 だいたい半々位のセットリストを用意していますので、世代を超えた方々に楽しんでいただけるのではないでしょうか。初めての方も、是非足を運んでいただけたらうれしいです。 ──歌を再開したことや5年間の歌手活動を振りかえると、「自分はここまでしかできない」というものを超える、というのは伊藤さん自身の生き方のテーマであるようにも思えます。 年齢を重ねても、新しいことを始める勇気は持っていたいですよね。ファンのみなさんにもコンサートでは思いっきり楽しんで、さらに元気になっていただき、なにかと出会ったときには、年齢のことはさておき、どんどん挑戦できるよう前向きな気持ちをもっていて欲しいなと思います。 ──実際に伊藤さんは音楽活動など、新しいことをどんどん始めていらっしゃる印象です。しかも非常に新鮮な楽曲を次々とリリースし、今回のツアーも2025年1月まで続くロングツアーになっていますし。 「終活」というものは横目でチラッと見る程度にしていて、今を楽しく生きることを考えながらやっています。現在の私の夢は、海外へ語学留学をすること。仕事の都合で、かつて学生生活をたっぷり味わえなかったこともあるんでしょうね。 学ぶことって、やっているときは苦しいし、投げ出したくなることもあります。だけど習得する喜びは代えがたいものがあります。だから「また、いろんな勉強をしたいな」って。語学を習得したからといって「仕事に生かす」とか大きな目標はないのですが、自分の人生の楽しみの一つになったら良いですね。 ──作詞活動もずっとやっていらっしゃいますけど、2023年リリースのアルバム『LEVEL 9.9』を聴くと、歌詞内容のバリエーションもすごくて、このあたりもチャレンジ精神を感じます。 私は、そんなに大それた人生を送ってきたという自覚がないので、経験からなにかを創作するということはなく、作詞をするときは、ほとんどが想像の世界です。人との出会いや別れなど、誰もが経験することは、私も同じなので、そんな経験も何気なく歌詞に滲んでいたらと思っています。人が溢れる街が好きな一方で、こたつに入ってみかんをむいて食べるようなほっこりとした時間も好きで大切に思っています。 ──でもツアーも長く続きますし、そういう落ち着いた時間はまだまだ先になるんじゃないですか。 2025年の活動についてうっすらイメージを浮かべてはいますが、まだ具体的にはしていません。今は目の前のことに全力投球して、みなさんに今回のツアーを楽しんでいただけたらと思っています。 そして先のことは、あまり決めすぎず、今やっていることから何かが生まれるかもしれないという期待とともに、この瞬間を楽しみましょうって、そういう空間をみなさんと一緒に作り出したいです。よろしくお願いいたします! ◇ 『伊藤 蘭 ~Over the Moon~ コンサートツアー 2024ー2025』の関西での公演は、8月25日・大阪「フェスティバルホール」、2025年1月12日・京都「ロームシアター京都 メインホール」、1月13日・兵庫「神戸国際会館こくさいホール」で開催される。料金は指定席9900円、Uー18シート5500円。