武侠+『Hades』なローグライトアクション『Realm of Ink』がシブくてカッコいい。水墨画風のアートと武侠モチーフがばっちりキマった一作【WePlay Expo 2023】
見下ろし型の2Dアクションでローグライト要素をあわせ持ち、ハイクオリティでアーティスティックなビジュアル。 『Realm of Ink』画像・動画ギャラリー 『Realm of Ink』のゲーム画面を見たとき最初に抱いた印象は、中国版の『Hades』だ。ひとつ大きな違いは『Hades』がギリシャ神話をベースとしているのに対し、本作はがっつりと“中国”の文化を取り入れているところだろう。 さらにその物語設定は、ゲームの主人公が「自分が物語中に登場するキャラクターである」と気づいてしまうというもの。この設定も“水墨画”風のアートとの親和性が高く、さらに中華ファンタジーのようなモンスターが出てくることの説得力もある。安易なコピーではなく、ひとつ独自の世界を構築しようとしているのだ。 本稿では中国・上海で行われた大規模インディーゲームイベント「WePlay Expo 2023」の試遊体験をベースに『Realm of Ink』の魅力と、すでにかなりの完成度を感じたゲームプレイの模様をお届けしていきたい。 取材・文/久田晴 ■“中国っぽさ”あふれる雰囲気と、クールなキャラクターデザインに惹き込まれる 見るからに『Hades』っぽさのある本作だが、実際ゲームをプレイしている感触も確かに『Hades』に近い。ただ同時に『Realm of Ink』ならではと言える要素もいくつか備えており、その最たるものが中国文化に根づいた“武侠っぽい”デザインの部分だ。 主人公の「丹朱」をはじめとするキャラクターの衣装、拠点となるエリアの装飾、立ちはだかるエネミーのデザイン、そして冒険するフィールドに至るまで、あらゆる部分から“中国っぽさ”が匂いたつ感覚。これはギリシャ神話をモチーフとする『Hades』と、本作の大きな違いのひとつと言えるだろう。 実際、現地で立ち会っていただいた開発スタッフいわく、試遊版の舞台となった雪山のようなステージは、かのヒマラヤ山脈をイメージしたものであるらしい。 またタイトルに「Ink(墨)」とふくまれていることからも分かるように、本作のアートは全体を通じて“水墨画”風に統一されたもの。キャラクター、背景、攻撃エフェクトなどはどれも見ているだけでカッコいいし、『Hades』にはない味を楽しめる。 ただしキャラクターなどは現代風なデザインで、ちょうどいい塩梅に武侠っぽさを残しつつ、古臭いとは感じない絶妙な仕上がり。特にブースに置かれていた大型のキャラクターボードはかなり目を引く一品だった。 ■ペットの存在がユニークなアクションは、すでにかなりの出来栄え 『Realm of Ink』の“ローグライト”要素において、ビルドの楽しみとなるのが「インクジェム(Ink Gems)」のシステムだ。これはひと言でいうと、アクティブスキルとパッシブスキルがひとつに合体したものである。 攻略中には最大ふたつのインクジェムを装備しておき、それらをクールタイム式の攻撃スキルとして運用する。同時に、装備している間ずっと発動する効果も用意も持ち合わせているので、ふたつのインクジェムの効果を考えて組み合わせたり、使い方を工夫する必要が生まれてくるというわけだ。 もうひとつ目立つのが、プレイヤーと一緒に戦ってくれる「インクペット(Ink Pets)」の存在。がプレイヤーとともに戦ってくれるというのも『Realm of Ink』の特徴。このペットが何とも柔らかそうでかわいいだけでなく、なんとインクジェムの組み合わせによって“進化”するのである。 進化の方向性はインクジェムの組み合わせに依存するらしく、今回の試遊では尻尾で直接相手を叩いたり、ダーツのような飛び道具で援護してくれたりといった姿が見られた。さすがにペットにお任せして逃げ回るような戦い方は難しいだろうが、ひとりで戦っているよりははるかに心強いし、シンプルに動いている姿がかわいくて愛着がわいてくる。 ローグライト要素としては、ランダムにドロップするインクジェムとレリックを組み合わせてビルドを形成し、それを強化できるようにショップでさらにレリックを買い足したり、インクジェムを強化したり……といった分かりやすいもの。『Hades』をふくめ、ローグライト系の作品を遊んだことがあればすぐに仕組みは理解できるだろう。 ちなみにステージを移動する際、次のステージの報酬がお金になるか、インクジェムになるか、レリックになるか……みたいなところは選択可能。使わなくなったインクジェムはその場で分解もできたりと、かなり快適性を意識したゲームデザインに感じられた。 また拠点に戻ればキャラクターやペットの基礎性能をレベルアップさせる、恒久的な育成システムも搭載。“運と実力”だけではない、やり込みによる攻略の軟化も狙えるローグライトとなっているので取っつきやすそうな作品だ。 ぱっと見で「中国の『Hades』か!?」と心惹かれてしまった『Realm of Ink』。実際に触ってみると、そのプレイフィールは確かに『Hades』っぽくはありながらも、各所でオリジナリティを発揮していた。アクションの手触りもすでに充分楽しめるレベルのもので、完成が待ち遠しい作品のひとつである。 特にアート部分は“中国ならでは”の雰囲気をしっかりと出しつつも、中華圏の文化になじみの薄い筆者もすんなり受け入れられる程度には丸くアレンジされている。ジャンル的な人気も加味すれば、グローバルで広く人気を得るビジョンもそれほど現実味の無い話ではないだろう。 まだ発表されたばかりの『Realm of Ink』だが、すでにゲームプレイの部分はかなりできあがっているように思えたし、Steamでのストアページも公開済み。今後のリリースに向け、続報にも注目していきたいところだ。
電ファミニコゲーマー:久田晴
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