「学校で政治の話はタブーなの?」教育評論家・親野智可等氏に《日本中学生新聞》が聞いてみた
SNSで疑問の声が噴出…「政治の話をしたら学校で先生に怒られた」というエピソード
FRIDAYデジタルの記事「『夢洲カジノは止められる』…中学生がたった一人で立ち上げた『日本中学生新聞』その大人顔負けの中身」(9月14日)が公開されると、「すごい中学生がいた!」「大人も見習わなければ」「日本の希望」といった声が続出。SNSには「日本中学生新聞」が長時間トレンド入りを果たしていた。 【更地だらけ…】本当にできるの…? 開催まで1年半待ったなし!大阪万博「空撮写真」 そんな中、もう一つ目立ったのは、政治の話をしたら学校で先生に怒られたというエピソードに対して、驚き、不安を訴える声が多かったこと。 そこで、日本の学校現場と民主主義のかかわりについて、日本中学生新聞(川中だいじ)さんと40年以上の公立小学校教諭歴がある教育評論家・親野智可等さんの対談を実施した。 川中だいじ(以下 川中) ぼくが小学4年生のとき、大阪市では、2度目の住民投票、「大阪都構想」が行われました。大阪都構想で大阪市が廃止され、市民サービスが削られたら困るという話をしていたら、先生に怒られたんですね。 また、5年生のとき、「消費税はない方が物を買いやすいよね」と友達と話していただけで、怒鳴られたこともあり、6年生のときには、新聞委員会で投票に行こうという趣旨を書いたら、その新聞を掲示してもらえないこともありました。 親野智可等(以下 親野) それは過剰反応と言わざるを得ないですね。先生の個性はもちろんありますが、日本では暗黙の了解として、学校で政治について話すことを控えすぎてしまっているところがあるとは思います。 それは、教育基本法第14条第2項に「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」という文言が、先生方の頭の中にあるから。 加えて、「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」というのもあるんですね。これらは政治団体や主義主張を、先生が子どもに働きかけてはいけないというものです。 とは言え、川中さんは先生ではなく、児童生徒の立場でやっていることで、法律とは全然関係ない話ですよね。当然許されるべきですし、投票に行こうなんて話は主義主張でも何でもない。先生の頭の中にはおそらく「政治を扱ってはいけない」という思い込みがあったのだと思います。 川中 「子どもの権利条約」について、学校の先生方はどう思っているんでしょうか。 親野 子どもの権利条約というものがあることや、日本も批准していることは知っていても、全部読んだという先生はほとんどいないでしょうし、趣旨を理解している先生も極めて少ないと思います。 ◆あるとき突然、理由も告げられずに「うどんとゼリーが禁止」になったんです… 川中 ぼくが気になっているのは、民主主義について先生方はどう考えているのかということです。 小学生のとき、民主主義を揺るがす大事件が起きたんです。ぼくが通っていた学校では週3回お弁当だったんですが、あるとき突然、理由も告げられずに、うどんとゼリーが禁止になったんです。教頭先生の鶴の一声で決まったらしく、児童は意見を述べることもできず、そのときは、ただ従っただけでした。 もし先生が校則を決めたいなら、なぜ児童の声を聞かないのか不思議でたまらないです。アンケートとか投票でもいいですし、そうやって先生方が児童の声を聞くことが、やがて児童が大人になったときの選挙の投票率を上げることにもつながると思うんです。