ひろゆきとの旅を通してその人間力が明らかに 東出昌大に注目
「世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた」が面白い。シーズン1ではアフリカ大陸を、今回は南米大陸を、飛行機を使わずバスや車で横断する。この手の旅番組といえばひと昔前だと猿岩石のヒッチハイク企画、さらに前だと沢木耕太郎の「深夜特急」が有名だが、本企画も負けず劣らず面白い。今後、世界を旅する人たちのバイブルになるのではないかと思う。 まず新鮮なのが、他の番組で取り上げられそうな大都市だけでなく、地方都市や、さらに小さな街に行くことが多く、初見の街や生活を見て取れることができる。またルール上、現地の人とご飯を食べると番組から予算が出るので、積極的に声掛けをしていくのもよい。現地の人が今何を考え、どういう生活をしてるのか、出演者である東出昌大と西村博之を通して視聴者に丁寧に伝えられる。 そこで今回紹介したいのは出演している東出昌大。モデルとしてデビューした後、映画「桐島、部活やめるってよ」で俳優デビュー。数々の賞に輝くとともに、映画にドラマと出演が続き一気にブレイク。しかし、数年前の不倫騒動によりすべてを失う。“理想の夫婦”として広く認知されていたこともあり、俳優としての復帰は難しくなった印象だが、山での生活がニュースになるなど自由人を地でいくキャラとして復活の兆しがあった。 その東出が、論破王ことひろゆきと一緒に旅に出かけるのだが、話題性のみを考えたキャスティングかと思いきや、これがなかなかに相性がよい。番組への忖度(そんたく)なしでマイペースに行動するひろゆきと、多少気を使いながらもこれまたマイペースで行動する東出。かみ合わなさそうだが、大人としてお互い立てるところは立てるので、見ていて嫌な気持ちにはならない。そして異国の地ながら全力で楽しむ姿を観て、その人間力をうらやましくも思う。これまであまりいいイメージがなかった2人だが、番組を通じてガラリと印象は変わった。 東出昌大、俳優の仕事も徐々に増えてきているが、このまま埋もれるには惜しい人材である。完全復帰にむけてなかなかにハードルが高いとは思うが、本番組を観て俳優としてタレントとしてまだまだ観てみたいと思った。今後の活躍に期待です。 ◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。直近では映画「その恋、自販機で買えますか?」「映画 政見放送」が公開。