金の仏像は本当に「相続税対策」に有効か?金の「相続税評価」と「相続対策」について税理士が解説
金は固定資産税がかからない安定資産で遺産分割もしやすい 「有事の金」という言葉があるように、金は安定資産として知られています。利息を生まないものの、世界的に見ても数量が限られているので、大きく値崩れしないことが特長です。金は不動産とは異なり、保有しているだけでは固定資産税やそのほかの税金はかかりません。また、換金性に優れているため、遺産分割に適しています。あらかじめ金地金を小分けにして相続人の数だけ用意することもできます。ただし、一般に500g未満の金地金を購入するときは手数料がかかります。自宅に金を保管するのが心配であれば、貸金庫や貴金属業者の預かりサービスが利用できます。ただし、手数料や保管料が必要になることが一般的です。 ◆家族に金の存在を伝えておく 自宅や貸金庫に金の延べ棒や金貨があれば、相続人は簡単に財産を見つけることができます。一方、貴金属業者に預けている場合や純金積み立てをしている場合は現物がないため、相続人が財産を見つけ出すことは難しくなります。取引内容の通知などが郵送される場合もありますが、インターネットで取引している場合は、通知が送られてこないこともあります。相続対策では、貴金属業者に金を預けていることや純金積み立てをしていることを家族に伝えておくか、メモを残しておくことをおすすめします。 ◆金貨を生前贈与する方法も 相続対策としては、金貨を生前贈与する方法も有効です。金を贈与した場合は贈与税の課税対象になりますが、贈与される人一人あたり年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりません。生前贈与の方法として、少額の贈与を長年にわたって続けることがよく知られていますが、現金の代わりに金貨を贈与すれば、将来の値上がり益も見込めます。ただし、元本が保証されていないので値下がりするリスクもあります。 少額贈与するのであれば200g程度の金地金でもよく、むしろ低コストである場合が多いのですが、金貨には特徴のある美しいデザインが施されており、贈る楽しみともらう楽しみがあります。また、種類によっては毎年デザインが変わるものもあるため、年ごとの贈与に向いているでしょう。
「金」を使った相続対策は慎重に
金は古くから価値のあるものとされ、富の象徴として多くの人を引きつけています。金は安定資産として価値の保存に優れていますが、少量の取引では手数料などのコストが割高になるため、一定以上の資産がある人に向いています。 一定以上の資産がある人なら相続税の課税対象になることが多いため、金を使った節税方法が注目を集めていますが、そのような節税方法は無意味であることがほとんどです。また、課税を免れるために財産を隠すことは違法行為です。 金の特徴を踏まえて相続対策をするときは、適切な方法を取らなければなりません。わからないことがあれば、貴金属業者や税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
税理士法人チェスター