火星のオリンポス山に降りた霜 ESA探査機の観測で初めて発見される
霜の厚さは100分の1mm(10μm)と薄いものの広大な面積を覆っており、地表と大気の間を循環する水の量は1日あたり約15万トン、オリンピックサイズのプール約60個分に相当すると推定されています。 Valantinasさんによると、昼間は薄い大気と太陽光の複合的な作用によって低地の表面と山頂の双方で気温が比較的高く保たれるため、火星の赤道付近に霜が存在することはあり得ないと考えられていました。それにもかかわらずオリンポス山などに霜が降りているのは、高くそびえるタルシスの山々の上空では特異な大気循環が起きていて、窪地となっているカルデラの内部に独特な微小気候(局地的な気候)を生じさせているからではないかと考えられています。 また、タルシスの山々の霜は寒い季節に日の出前後の数時間しか存在せず、日が高くなるにつれて消えてしまうので、観測できる季節と時間帯が限られます。Valantinasさんはそうした時期的な条件に加えて、火星探査機の多くは太陽と同期した軌道を周回しており、地上の早朝を含め一日中観測できるTGOやMars Expressと違って午後の時間帯にしか観測を行えないことも、今まで霜が見つからなかった理由として指摘しています。 ExoMarsのHRSCで撮影されたオリンポス山の画像はESAから2024年6月10日付で公開されています。 Source ESA – Frosty volcanoes discovered in Mars’s tropics Brown University – In a significant first, researchers detect water frost on solar system’s tallest volcanoes Valantinas et al. – Evidence for transient morning water frost deposits on the Tharsis volcanoes of Mars (Nature Geoscience)
sorae編集部