37歳涌井秀章、新人から20年連続勝利に「たいしたことない。連盟表彰でもないので。表彰を作って、と書いておいてください」
◆JERA セ・リーグ 広島0―4中日(6日・マツダスタジアム) 淡々とした口調で“注文”をつけた。中日・涌井秀章投手(37)が20年連続勝利をマークした。ルーキーイヤーからでは8人目になり、右腕では81年の佐々木宏一郎(南海)以来、43年ぶりの快挙だ。だが「たいしたことない。連盟表彰でもないので。表彰を作って、と書いておいてください」と偉大な記録をサラリとかわした。 【詳細データ】38歳涌井の年俸、年度別成績 「3者凡退は一度もない中で、ゴロを打たせて、みんなが守ってくれた」。初回、高橋周の好守もあって、1死一、二塁のピンチを脱出。7回1死三塁で降板するまで毎回の8安打されたが1点も与えなかった。 3月30日のヤクルト戦も7回途中無失点。今季12回1/3で1点も与えていない。さらに、四死球もゼロ。「去年はカウントを不利にして四球を出すことが多かった。四球がないだけでピッチングが変わってくる」。中日移籍1年目の昨季は5勝13敗に終わったが、今季は制球力を取り戻した。 左足を上げてから3秒近く“静止”するようなフォーム。キャンプではこの片足立ちが約5秒とさらに長かった。軸足に体重を乗せる独特の練習法で、山井投手コーチは「マネできない。涌井にしかできないですよ。それだけ足の力が強い」と37歳に舌を巻く。 涌井は「先発は勝ちがつかないと乗っていけない」と通算160勝目となった今季初勝利の味をかみしめた。チームは22年8月以来の2試合連続零封勝利。昨年3月31日の開幕戦勝利以来、372日ぶりの貯金1に、立浪監督は「(他球団に)乗り遅れないようにと思ってやっています」と開幕ダッシュをもっと加速させるつもりだ。(井之川 昇平) 記録室 涌井(中)が今季初勝利し、新人だった05年から20年連続で勝利をあげた。20年以上続けて勝利をあげたのは、22年連続で継続中の石川(ヤ)に次いで13人目。入団1年目からも石川に次いで8人目になる。 13人のうち、右腕は、三浦、米田、小山、石井、佐々木に次いで涌井が6人目。新人からになると、米田、小山、佐々木に次いで4人目。佐々木が記録した最後の年が、81年だから43年ぶりだった。 西武、ロッテ、楽天に次いで中日が4球団目の所属。4球団以上にまたがって20年以上の連続年勝利は、西武、ダイエー、巨人、横浜と4球団経由の工藤に次いで2人目だが、工藤は4球団目に勝利した横浜が23年目。20年連続勝利を4球団にまたがって記録したのは涌井が初めてだ。 過去、3球団で最多勝と2ケタ勝利をマークしているが、4球団で最多勝なら自身の3球団を更新。4球団で2ケタ勝利なら、ロッテ、日本ハム、大洋、阪神で記録した野村収しかいないだけに、2ケタ勝利を狙いたいところだ。(福山 智紀)
報知新聞社