【宮本慎也】バッティングで1番重要なのは「打ちにいく姿勢」 近本光司と中野拓夢どう感じる?
<広島0-3阪神>◇2日◇マツダスタジアム 首位・広島を相手に、今季は思うような戦いができていない阪神が、意地を見せた。 0-0で迎えた延長10回表1死一塁、島田のライト前ヒットを右翼手の野間が三塁へ悪送球。待望の勝ち越し点を挙げると、不振だった近本と中野が連続タイムリー。相手のミスに乗じたとはいえ、この回だけで3得点し、試合を決めた。 この勝利を近本と中野が、どう感じるのか? これが今後の阪神のカギを握ると思う。それぐらい、延長に入ってからの2人の打席内容は、それまでとは違っていた。 延長に入る前の打席は、近本も中野も4打数無安打。内容も最悪だった。近本は1打席目から3打席目まで、中野も第1打席から第4打席まで、すべてファーストストライクを見逃している。特に中野は第2打席、第3打席、第4打席は甘いファーストストライクを見逃した後、次に来た同じ球種の難しい球を打ちにいっている。「それを打ちにいくならなぜ、初球の甘い球を打たないのだろう」という疑問が浮かぶほどだった。 これは近本、中野だけの問題ではないが、阪神打線はファーストストライクを打ちにいかない傾向がある。阪神の岡田監督は試合後のコメントを見る限り、ボール球を打って凡打することを極端に嫌う傾向があると思う。確かに昨年は「四球重視」の野球で優勝した。しかし、阪神に連覇させないために、相手球団も研究する。打ってこないなら、どんどんストライクゾーンで攻めてくるのは当然だろう。これが貧打の元凶になっている。 やはりバッティングで1番重要なのは「打ちにいく姿勢」だと思う。「見る」→「打つ」ではバットが出にくくなるし、どうしても差し込まれやすくなる。「打ちにいく中で見極める」というのがとても大事で、その姿勢があってこそ、選球眼やタイミングが崩されながらでも打てる技術が積み上がっていく。「打ちにいく姿勢」があるから自分自身の次の課題が分かるし、自分に必要な技術の取得が見えてくるのだと思っている。 近本にしろ、中野にしろ、相手のミスで決勝点が入り、楽になったのかもしれない。近本のタイムリーは初球のストライクを見逃しているが、低めのチェンジアップで打たなくてもいい球だった。そして中野はファーストストライクをタイムリーにした。 2人とも結果が出た。これを教訓にして、積極的にファーストストライクを打っていけるようになれば、結果は付いてくると思う。昨年優勝も、この2人の活躍があってこそ。本来の調子を取り戻しさえすれば、巻き返しは可能だと思う。(日刊スポーツ評論家)