無類のゲーム好きだったマイケル・ジャクソンが唯一残したビデオゲーム『マイケル・ジャクソンズ ムーンウォーカー』開発秘話「居るだけでオーラが見える人でした」【死後15年】
マイケルのクリエイターマインドに感服
鶴見氏は、セガに来訪したマイケルを社内案内し、当時の新作ゲームを2人でプレイしたことが、ずっと思い出の中にあるという。 2009年6月25日、マイケルの訃報を聞いたとき、鶴見氏はすでにセガを退職して、ソニーコンピュータエンタテインメント(現在のソニーインタラクティブエンタテインメント)に転職していた。 同年に公開された映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』を観て、改めてマイケルのクリエイターとしてのすばらしさを感じたという。 「あの映画のマイケルこそが、僕の知っているマイケルなんです。映画のなかのマイケルは、ライブやミュージックビデオで観るエンターテイナーじゃなくて、完璧なステージを作るためにチームと意見を出し合って、メンバーをリスペクトし、でも、譲れない部分は譲れないというクリエイターとプロデューサーの両面を兼ね備えた人物でした。 思い返すと当時、新人だらけのセガの開発メンバーに対しても分け隔てなく接してくださったことを再認識したんです」 マイケルと2人でゲームをプレイしたときに話した内容は緊張しすぎて、今はもう覚えていないそうだが…… 「世界的なスーパースターが目を輝かしてゲームで遊んで喜んでいること、そのためにわざわざセガに来てくれたことがとてもうれしかったです。居るだけでオーラが見える人でした。僕も今では、すっかりマイケルの大ファンです(笑)」 今なお多くの人を魅了してやまないマイケル・ジャクソン。その音楽性のみならず、人間性すらも垣間見えるゲーム作りの現場だった。 取材・文・写真/黒川文雄 写真協力/John Harrison 出展/セガ社内報Harmony ©SEGA
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