【ドラフト連載】昨年弟・大和が西武へ 日本通運・冨士隼斗「俺も行く」投球見直し、約束果たす
<社会人編> ドラフト候補紹介企画の最終回は社会人編。大学時代にドラフト会議で指名漏れを経験した、日本通運の冨士隼斗投手(22=平成国際大)と日本生命の谷脇弘起投手(23=立命大)は、悔しさを糧に進化を続ける。 ◇ ◇ ◇ 日本通運の冨士は、昨秋のドラフトで弟大和投手(18)が西武育成1位で指名される姿を目にし「自分のことのようにうれしかった」という。夢の扉を開けた弟が誇らしく、来年は自分も、と誓った。 あの悔しさはもう2度としたくない-。平成国際大4年の23年秋、最速155キロの速球を武器にプロ志望届を提出したが、腰のケガもあって指名漏れ。日本通運に就職した。「2年で、できることをやり尽くしプロに行く」と覚悟した。 速球よりも制球力。気づいたのは、昨年の都市対抗大会だった。エイジェック戦、7-1で迎えた8回。点差が開いた場面で抑えで登板した。「もっと投げたい。そのためには監督の信頼を得られないとダメ。自分にはまだ力が足りないんだ」。試合には勝ったが悔しさだけが残った。 今夏、自分の投球を見直した。「フォームの再現性がなかった。下半身の強化、使い方を阿部良亮コーチがつきっきりで指導してくれた」。これまで、こだわり続けた速球。制球力だと分かっていても力が入る。夏のオープン戦で先発を経験すると、イニングごとに阿部コーチと投球内容を振り返った。試合をつくる感覚を体にたたき込み、日本選手権の明治安田生命戦で公式戦初先発。平均球速140キロ後半の速球は、勝負どころで力を入れると150キロを超えた。「大学のときの速球とは質も変わった」。切れのいいスライダーに、現在はフォークも磨く。23年秋とは別人だ。 昨年のドラフト終了後、家族で食事に出かけた。弟大和に「来年、俺も(プロに)行くからな」と宣言した。大和は「兄ちゃんがプロに来る前には、自分も支配下になるから」と応えた。兄弟で誓った約束。そろってプロの舞台に立つ日を夢見ている。【保坂淑子】