家具の配置を見直して、寝室・クローゼットをより使いやすく。
大がかりなリフォームをすることなく、家具の配置を見直すだけで、家族のコミュニケーションは円滑になり、家事はもっとラクに。 その方法論を一級建築士の資格を持つ高原美由紀さんに教わりました。
◆寝室
安全確保に、 ベッドの間は50㎝以上離す。
年齢を重ねると就寝中にトイレに行く回数も増え、途中覚醒してしまって良質な睡眠がとれないと悩む人も多い。 「電気をつけるとパートナーも起きてしまうので、寝ている目線よりも低い位置にフットライトをつけておくと安心です。ベッドとベッドの間もできれば50cm以上離したほうがいいですね」 そのためには寝室に置いていた家具を処分するか移動させることも検討を。 「いっそのこと、子どもが巣立って空いている部屋に、箪笥などの家具を移動させるのも一つの手ですよ」
◆クローゼット
空いている部屋を丸ごとクローゼットに。
「狭いクローゼットは、暗いし使いづらくて全体量が見えにくい。子どもが巣立って部屋が空いているならファミリークローゼットにするのがおすすめ」 空き部屋には普段の衣服を置いて一括管理。クローゼットには季節ものや着物などを収納すれば効率的だ。 「そもそも人間は片づけない動物なので散らかって当然。そこにストレスを感じるより片づけやすいシステムを作りましょう。手持ちの箪笥などサイズが異なるものをバラバラに置くと物置化してしまいます。思い切って処分してサイズが同じ衣装ケースを活用して」
過ごし方も家事動線も決まるから、定期的に見直したい家具の配置。
「家具の配置を換えると、まず体の向きと座る位置が変わります。それによって、家族間のコミュニケーションに大きく影響するんです」 そう話すのは、一級建築士の資格を持つ高原美由紀さん。心理学、脳科学、行動科学、生態学といった科学的根拠を持った「空間デザイン心理学」を体系化し、空間デザイン心理学協会の代表理事も務めている。これまで多くの家族から新築やリフォームの相談を受け、大がかりなリフォームをしなくても、家具の配置を換えるようアドバイスするだけで家族関係が良くなり、悩みが解決するという経験をしてきた。 「答えは全部家の中にあります。相談者の特性を見極め、家具の位置を変えて適切な居場所を作ってあげると喧嘩がおさまり、離婚をやめた夫婦はこの数年で5組くらいいます」 第2の人生を迎えようとする女性たちへのアドバイスは、「自分専用の椅子を1脚持つこと」だ。 「夫との会話を増やしたいと思えば、彼の視界に入る場所に椅子を置き、逆に一人になりたい時は家族に背を向ける位置に置く。これからの暮らしを考えたい時は、椅子は窓に向けて置けば、未来を明るい気持ちで考えられます。50代からは、家事や子育てから解放され、ありのままに生きられる素晴らしい時期。まず、自分がどうしたいか、どんな暮らしをしたいかを見つめ直し、部屋のどこが最も居心地がよいか改めて感じてみることが大切です」