センバツ決定の別海高 3割が酪農家出身 農業ハウスで特訓も
出場喜び牛乳で乾杯
北海道屈指の酪農地帯・別海町の別海高校が26日、第96回選抜高等学校野球大会(3月18日開幕、甲子園球場)の「21世紀枠」の出場校の一校に選ばれた。野球部員19人のうち6人が酪農家出身。冬の雪や寒さなど厳しい環境下にあっても、地域の協力や独自の工夫を重ねて練習を続けてきた選手らは、センバツ出場が決まった瞬間、歓喜の渦に包まれた。 【画像】農業用ハウスの中で練習する部員 同校が甲子園に出場するのは春夏通じて初。校内でセンバツ出場決定を知った野球部員らは26日、「酪農の町」の学校らしく牛乳で乾杯し、喜びを分かち合った。 野球部主将の2年生、中道航太郎さんは「皆さんの応援のおかげ」と感謝の言葉を述べ、「野球で恩返しがしたい」と全国の強豪校との対戦に改めて意欲を燃やした。監督の島影隆啓さん(41)は、地域の手厚い支援に感謝を述べ「近隣高校の思いも背負って戦いたい」と決意を述べた。 野球部員は16人と強豪校と比べて少数ながら、23年秋季北海道高等学校野球大会でベスト4に進出。道内の高校野球で存在感を示す精鋭がそろう。 今回のセンバツに出場するのは32校。21世紀枠は、別海と田辺(和歌山)の2校に決まった。
牛の世話しながら練習
別海町は人口約1万4000人に対し、牛の数はそれを大きく上回る約11万頭。酪農が盛んで、野球部員にも酪農家出身が多い。 2年生の千田涼太さん(16)、林伸悟さん(16)も実家は酪農家。冬休みなどは、野球部の練習に参加しながら、自宅にいる時は子牛の寝床掃除や牛舎の除ふんなども手伝う。「いつも応援してくださる地域の人に野球で恩返ししたい」「酪農の町を野球で盛り上げたい」と2人は決意する。 部員が練習に専念でき、保護者の負担を減らすため、町も協力した。朝の練習時は、よほど近くなければ保護者の送迎が必要。ただ、実家が酪農家だと搾乳時間と重なり難しいケースも多い。事情を考慮した町は、町内の旅館を寄宿舎に改修。そこから通う部員も多い。 室内練習場がない同校野球部は雪のシーズンに入ると、グラウンド隅の農業用ハウスで、ティーバッティングやウエイトトレーニングを重ねる。「野球部に入ってくれた生徒たちの気持ちに応えたい」という島影監督の熱意と保護者らの協力で、雑草だらけだったハウスを整備。練習に集中できる環境にした。 ランニングや守備練習は雪が積もっていてもグラウンドでこなす。島影監督は「雪の上を転がるボールはイレギュラーする打球に似てる。練習内容によっては雪を逆手に取り、たくましい選手を育てたい」と話す。