[MOM5005]前橋育英FW中村太一(3年)_「ファーストタッチまで」からの脱却! 兄が敗れた準々決勝に導くスーパーサブ劇的弾
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ Sponsored by アディダス ジャパン] [1.2 選手権3回戦 帝京大可児高 2-3 前橋育英高 駒沢] 【写真】福田師王が大胆イメチェン「ライオンじゃん」「圧倒的金ピカ」 相手が退場者を出しながらも2-2のままで迎えた後半36分、攻めあぐねる前橋育英高を救ったのは3年生スーパーサブだった。左サイドを攻め上がったDF牧野奨(2年)からのクロスがゴール前に送られると、相手DFよりも先に反応したのはFW中村太一(3年=上州FC高崎)。最後は巧みな反転トラップから右足でゴールに叩き込んだ。 今大会は3試合ともにベンチスタートで、いずれも終盤からの出場。2回戦・愛工大名電戦ではPK戦の7人目でキックを決める仕事も果たしていたが、何よりも「自分は今年なかなか結果を出せなくて悔しかったけど、交代で出たら決めようと思っていた」と試合中のゴールに飢えていた。 後半23分からの起用で、山田耕介監督からの指示は「とにかく点を取ってくれ」と単純明快。決して良い流れではなかったが、同36分、牧野からのクロスを反転しながら収めると、「自分の得意なファーストタッチでいい感じで振り向けて、あとはコースが見えたので振り抜くだけ」と冷静にネットを揺らした。 「チームのムードも悪い中だったので、その中で決めることができて喜びが爆発しました」(中村) 全国の大舞台で決定力を見せた中村だが、普段は「毎回ファーストタッチまではいいんですけど、みんなから『シュートは下手』と言われていた」といい、“ファーストタッチまで”からの脱却を告げる一撃に。「シュートが下手くそなので、自主練とかで磨いてきたつもり。それがたまたま実って良かった」。駒沢での歓喜は地道な努力が報われた瞬間だった。 地元群馬出身の中村にとって高校選手権は「小さい頃からの夢の舞台」。3つ年上の兄・旭希さんも2021年度の第100回大会でスーパーサブを担い、1回戦と2回戦でピッチに立った実績を持つ。 兄の世代は準々決勝で大津高に敗れていたが、弟・太一は自身のゴールで兄の雪辱の舞台へ。父親も前橋育英高出身で「お父さんとお兄ちゃんの思いを背負って戦いたい」と“中村家”の希望も担う息子であり弟の太一は「まだお兄ちゃんの記録は越していないので、次も自分の点で越したい」と4強突破に決意を示した。