【会見全文】トヨタ社長「ハンプ氏が法を犯す意図なかったと信じている」
トヨタ自動車の豊田章男社長は18日、ジュリー・ハンプ常務役員が麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕されたことを受け、東京本社で記者会見した。 以下はその全文。
<豊田章男社長の会見全文>
司会:本日はお忙しい中、また遅い時間にもかかわらず急きょお越しいただきまして、誠にありがとうございます。昨日、弊社ハンプ常務役員が逮捕されたことを受け、これより記者会見を実施させていただきます。なお、本日は弊社名古屋オフィスと中継をつないでおり、名古屋からもご参加いただいております。 まず初めに社長の豊田より一言申し上げます。 豊田:豊田章男でございます。このたびは弊社の常務役員の件で世間をお騒がせすることになり、誠に申し訳なく思っております。ジュリー・ハンプ氏は私にとってもトヨタにとっても、かけがいのない大切な仲間でございます。今の私どもにできることは、仲間を信じて当局の捜査に全面的に協力することだと思っております。そして、今後の捜査を通じてジュリー・ハンプ氏に法を犯す意図がなかったということが明らかにされることを信じております。 現時点で私どもが把握している事実は限られておりますので、十分なご説明が皆さまにできるかどうかは分かりませんが、まずは私自身が皆さまの前で、自分の言葉でご説明することが大切だと考え、こうした場を急きょ設けさせていただきましたので、よろしくお願い申し上げます。 司会:それではこれより皆さまからご質問を頂戴したいと思います。なお、質疑応答からは広報を担当しております、専務役員の早川も同席させていただきます。ご質問のある方はマイクをお持ちいたしますので、お手を上げてお知らせください。それでは、よろしくお願いいたします。 質問者(1):ウォール・ストリート・ジャーナルのクボタと申します。社長に2点、お伺いしたいんですけれども、1点目が3月の人事を発表したときに、ダイバーシティーの促進というのは1つの大きな目玉だったと思います。現在、残念ながらこういう事態になっているわけですけれども、この狙いが今後、後退しないように、どのような対応を取っていくのかというところを改めてお考えをお聞かせください。 2点目ですが、昨日、午前中に逮捕されたということで、コメントはその後ずいぶんと時間がかかったんですけれども、今日、次の日に会見をこうやって行ってらっしゃいます。リコール危機の後にメディア対応が遅れたというような批判もあったかと思うんですけれども、今回、このように早い時点で、このような時点で会見を持っていらっしゃるということの意図を、あらためてご説明お願いします。 豊田:はい。2点目のご質問から回答させていただきます。3月というか、今回、このニュースが私の耳に入りましたのは、昨日の13時、警察から連絡があったということが人事担当役員から私の耳元に入りました。私がその場で行動を起こしましたアクションは、まず事実をしっかり把握しなければいけないと。私にとって直属の部下である役員も、従業員も、いわば私にとっては子供のような存在でございます。子供を守るのは親の責任でもあり、子供が迷惑をかければ謝るのも親の責任であります。 ハンプ氏は信頼するかけがえのない仲間であり、どうすればハンプ氏の支えになるのかということを今、最初のアクションに申し上げました。そして、3月の発表のその後、ダイバーシティー中心に新しい新体制に対しては、今後も緩むことなく、それはさらに進めていきたいというふうに思っております。3月の時点でより現場に近いところ、そして性別、国籍、全てを介して、いわば適材適所でこういう配置を決めてまいりました。 そして今回、このハンプ氏が日本に住むということは、やはり真のグローバル企業としての第一歩だったというふうにも思っております。かつて私ども、海外の拠点に日本人の社員を赴任させることはございましたが、今回、ハンプ氏のように日本国籍でない役員が日本に常住するというのは初めてのケースでございました。そういう意味では、いわばハンプ氏をサポートする準備が会社として多少不足をしていたのかなということは反省はしておりますが、今後も性別、国籍を問わず、適材適所で、よりお客さまにとって、お客さまの笑顔をいただく、もっといいクルマづくりを推進できる体制に対しては、一切変更は考えておりません。