日本一短い手紙コンクール入賞者決定 「一筆啓上賞」大賞5点、福井の25歳女性は亡き祖父へ
「時」をテーマにした第31回日本一短い手紙コンクール一筆啓上賞(福井県坂井市、丸岡文化財団主催)の入賞者発表会が1月25日、同市たかむく古城ホールであった。最高位の大賞(日本郵便社長賞)5点に、福井県内からは西野日菜さん(25)=福井市、会社員=の亡くなった祖父宛ての作品が選ばれた。 40字以内の手紙形式の作品を募集し、47都道府県と海外7カ国から3万4068点が寄せられた。県内からは8812点の応募があり、大賞1点、秀作1点、住友賞6点、坂井青年会議所賞5点、佳作15点の計28点が入賞した。 発表会には、池田禎孝市長や教育関係者ら約70人が参加。丸岡文化財団の田中典夫理事長は能登半島地震に触れ「『時』は、良いことも悪いことも今を過去にし、記憶に残す一方、夢や希望の実現につなぐもの。一人一人の物語を応募いただいた」とあいさつした。ステージで丸岡南中学校2年の大橋來輝さんら5人が大賞から順に坂井青年会議所賞までの40点を朗読。ユーモアある部分には会場に温かい笑いが広がり、子どものけなげな思いに涙を浮かべる姿もあった。 賞ごとの朗読後、作家の宮下奈都さん(福井市在住)ら選考委員6人が講評。大賞に選ばれた西野さんの作品について語った詩人の佐々木幹郎さんは「小さいとき膝の上で甘えていた思い出と、火葬場から骨つぼを自分の膝に置いて帰る情景が切ないほどよく分かる」と評した。 ゲスト選考委員として初参加したお笑い芸人パックンことパトリック・ハーランさんは「コンクールのきっかけの本多重次の手紙より愛や感謝が伝わる手紙ばかり」と笑いを誘い、「読む人のそれぞれの経験から感じることが違う。手紙の力を感じた」と話した。 大賞5点は、市一筆啓上日本一短い手紙の館で近くパネル展示される。入賞者をたたえる顕彰式は4月21日に市たかむく古城ホールで開かれる。
福井新聞社