元警察官ボクサー井上彪、5戦目で初奪取ならず 王者バイソンに判定負け WBOアジアパシフィックLF級
◆プロボクシング▽WBOアジアパシフィックライトフライ級(48・9キロ以下)タイトルマッチ10回戦 〇王者・ジェイソン・バイソン(判定)同級10位・井上彪●(21日、大阪・住吉区民センター) 元警察官ボクサーの井上彪(たける、25)=六島=が、プロ5戦目で王座初挑戦もジェイソン・バイソン(25)=フィリピン=に判定0―3で敗れ、初黒星を喫した。通算成績は井上が4勝(2KO)1敗、初防衛に成功したバイソンは12勝(5KO)1敗1分け1無効試合。 判定がコールされ、初防衛に歓喜する相手陣営の隣で、井上ががっくりと肩を落とした。日本、日本、タイで構成されたジャッジ3者は97―93、96―94、96―94でいずれもフィリピン人王者を支持。プロ入り後、初めて敗者となった挑戦者は「僕はまだチャンピオンベルトを巻く実力がなかった」と切れた口から血を流しながらも潔く、現実を受け止めた。 初の大舞台。相手は、昨年12月に当時WBOアジアパシフィック王者だった元世界王者・山中竜也(真正)を2回TKOで破り、新王者となったバイソン。不規則に飛んで来るそのパンチを初回からまともに食らった。連打でTKO寸前に追い込まれ、辛うじて持ちこたえたが、顔面は赤く腫れ上がった。4回までは、ほぼワンサイド。後半はボディーブローなどで王者を追い詰める場面もあったが、前半に被弾して失ったポイントが響いた。「出だしから効かされた。うまくやられたなという感じ。こちらのボディーも若干効いていたが、ダメ押しを当てさせてもらえなかった」と脱帽した。 地元・宮崎の日章学園で高校2冠に輝き、近大を経て大阪府警に入ったが「ボクシングをやり切ってない」と1年半で退職し、プロ入り。アマエリートは22年10月のB級(6回戦)デビューから4連勝して、プロ5戦目でこの日の舞台に立った。「いい経験をさせてもらった」。近大と六島ジムの先輩で、プロ6戦目で日本王座、8戦目で世界王座を獲得した元WBAスーパーフライ級王者・名城信男以上の早さでチャンスを得たが、生かせなかった。 同じ25歳の大陸王者に跳ね返され「序盤にパンチをもらって驚いて、攻め急いだ」と反省。だが「通用した部分もある」と後半の反撃には自信も得た。初黒星を糧に、元警察官ボクサーの挑戦は続く。
報知新聞社