上司に忖度 広告費漏えい ごみ収集カレンダー 福島県郡山市職員3人減給
福島県郡山市は18日、打ち合わせで上司が気にかけていた業者を市の事業に採用させようと忖度(そんたく)した部下が、業者側に情報を漏らす事案があったと発表した。上司に当たる環境部長、部下の課長と係長を同日付で減給10分の1(1カ月)の懲戒処分とした。3人はいずれも50代男性。村上一郎副市長を管理監督責任として厳重注意した。 市によると、問題の事業は「資源とごみの収集カレンダー」への広告掲載。2万8千円を最低限とし、応募金額の高かった5社を広告枠に選ぶ予定だった。 募集締め切り日の9月30日に開いた部内会議で、部長は広告の話に触れ、特定業者が選ばれないと把握。冗談交じりに「何とかならないの」と業者を気にかける発言を繰り返した。 5R推進課のごみ減量推進係長は、部長の言動を気にして課長に対応を相談。課長から特定業者に連絡するよう指示され、業者の代表に電話した。係長は広告枠に入れないと伝え、代案としてこの代表が役員を務める別業者として申し込むかを確認した上で上位5社のうち、一番低い応募金額を教えた。業者側は、5枠に入れる金額で応募した。
係長と業者の電話を聞いていた同課の職員が10月1日、契約検査課に相談して発覚。事業は中止された。 市は部長の行為は事務の不適正処理、残る2人の行為は守秘義務違反や入札談合に関わると判断した。官製談合防止法違反、公競売入札妨害などに当たる可能性があり、県警に相談している。市の聞き取りに対し、部長は業者側の代表を信頼していたとした上で言動の軽率さを認め、課長は「部長の思いに応えたかった」、係長は「時間的制約がある中、早く問題を進めたかった」などと釈明。業者側との金銭授受や私的交際はないという。部長級の懲戒処分は2006(平成18)年以来、18年ぶり。 菅野利和副市長が市役所で記者会見し「市民の信頼を損なう事態となり、誠に遺憾であり、深くおわび申し上げる」と謝罪した。 ■問題の経過と概要 ◇9月30日 ▽部内会議 3人を含む環境部の7人の打ち合わせで広告募集が議題に。特定の業者が広告枠に入らないと知った部長が「何とかならないの」と冗談交じりに繰り返す
▽会議後 対応を相談した係長に対し、課長が業者側に電話するように指示。係長が業者側に上位5枠で一番低い価格を伝える ◇10月1日午後 係長と業者側の電話を聞いた職員が契約検査課に相談 ◇2日 環境部が事業中止を決定。人事課に報告