都会のオアシス探訪? 大阪市が本庁舎の屋上緑化公開
山間部からメジロやモズも中之島へ飛来
石井担当係長はカメムシの子どもや、イラガの繭(まゆ)やカマキリの卵を発見した。一方で、特定の虫の幼虫などが大量に発生している形跡はみられない。多様な種類の虫や鳥が共生するバランスを取れた生態系ができていることがうかがえるという。 小鳥や昆虫たちは体こそ小さいものの、公園の樹木や街路樹で休息を取りながら、想像以上に広いエリアを移動している。この緑化施設にも山間部を住みかとするメジロやモズが飛来してくるそうだ。 「モズは捕らえた獲物を木の枝などに突き刺して保存食とする『はやにえ』と呼ばれる習性を持っています。この緑化施設でモズの姿が目撃されたわけではありませんが、はやにえが見つかっていますので、モズが中之島周辺を飛び回っていると考えていいでしょう」(石井担当係長) 自然が定着したことは誇らしい半面、施設維持管理のむずかしさも垣間見えてくる。あまりにも植物が繁殖しすぎると、自然ゾーン全体の環境が荒れかねない。飛来した鳥が落としたフンには、鳥がエサにしている果実の種が含まれている。フンにまじっていた種から芽生えた実生(みしょう)の若木が見つかった。愛着がわくものの、背が高くなると危険なため、放置するわけにはいかないという。 自然の力といかに折り合いを付けていくか。10数年の歳月を重ねた自然ゾーンは、定着から適度な更新や成熟へ向けて進もうとしている。「現在は景観を守りつつ、野草などを少し刈り込んで空間的なゆとりを作り直し、しばらく様子を見ている段階」(石井担当係長)とのことだ。 公開は11月25日までの毎月第2、第4金曜日で時間は午後1時から3時半までで入場は無料。石井さんは「事前予約も必要ありませんので、都会のオアシスに気軽にお立ち寄りください」と呼びかけている。詳しくは大阪市の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)