ベンガル「コメディならではの演技なんてない!」俳優人生で学んだ、本当に面白い舞台を作るには
「もっとシリアスに、もっとシリアスに」
自由劇場を辞めた後は、僕と柄本と綾田の3人で、キャバレーやビアガーデンの屋上でコントをやっていました。そのうち、高田純次が入団して、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の前身の『笑ってる場合ですよ!』にレギュラー出演するようになりました。 やがて、今は俳優としてドラマや映画で活躍したり、舞台演出を手掛ける岩松了が入ってきて、東京乾電池は路線がちょっと変わったんです。 「今まで笑ってきてくれたお客さんに背中を向けるような作品を作ろう」ということで、ロシアの劇作家のチェーホフの作品に取り組んだり、岩松が書いた『町内シリーズ3部作』というのをやったりしました。 でも、僕はそれにはちょっと乗り切れなくて、劇団の内にまた別の劇団を作って、女優の木野花を呼んで綾田と10本くらいやったんです。これには藤山直美さんも来てくれたこともありましたね。 経験を積んでいるうちに分かってきたのですが、喜劇も普通の演劇も、すごく暗い部分、シリアスな部分がないと、お客さんは笑ってくれないんです。面白い舞台を作りたいんだったら、「もっとシリアスに、もっとシリアスに」というほうに気持ちを持っていかなきゃいけないんです。昔は、「コメディならではの演技」というのがずっとあるんだと思っていたんですが、芝居をこなしていくうちに、実はそんなものはないということに気付いたんです。シリアスな芝居をうまくやれる役者ほど、観客を笑わすことができる。そのためには、自分が深刻に、ほんとに暗くならないとダメだと思ったんです。 ベンガル(べんがる) 1951年8月17日、東京都出身。自由劇場を経て、1976年に柄本明、綾田俊樹とともに『劇団東京乾電池』を結成。その後も、個性派俳優として映画や舞台、テレビドラマなど幅広く活躍している。 THE CHANGE編集部
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