「簡単に死ねないんだね、この国は」 国が身寄りなき高齢者への新たな支援制度検討に石川和男が吐露
政策アナリストの石川和男が6月29日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。国が検討を始めたと報じられた、身寄りなき高齢者への新たな支援制度について議論した。
5月7日付の朝日新聞によると、病院や高齢者施設に入る際の保証人や手続き、亡くなった後の葬儀や遺品整理など、家族や親族が担ってきた役割を果たす人がいない高齢者が増加しているとして、政府は新たな支援制度の検討を始めるという。今年度中にも、行政手続きの代行など生前のことから、葬儀や納骨といった死後の対応まで、継続的に支援する取り組みを一部の市町村で試行。そのうえで、経費や課題を検証し、全国的な制度化を目指すとしている。 これらの課題について、番組にゲスト出演した元横浜市職員で現在は高齢者施設や保育施設の運営にあたるディアローグホールディングス代表取締役の井口智明氏は、現在でも病院や介護施設にいる人は入所時の手続き上、必ず身元引取人がおり「独居」という状況にはならないと解説。「問題なのは、自宅でひとりで亡くなった場合」だとして、「この場合、まず警察が来て、事件性がないとなると次は行政(役所)の手に移る。行政の担当者が徹底的に戸籍から身内を探す。見つからない場合が非常に多いが、見つかっても(引き取りを)拒否されるケースがものすごく多い」と言及。死後に引き取り手が見つからない場合「行政が火葬や遺品整理の手続きをする。なので、今も身寄りのない人の死後の対応は行政がやっている」と明かした。 そのうえで、国が新たな支援制度を検討していることについて「今回、国はこれまで行政が行ってきた身寄りなき人への対応について、民間への委託を検討しているが、民間委託の制度自体は今でもある。問題は、委託先の民間団体がちゃんとしたところかわからないという現状。それをきちんと国で制度化しようというのが、今回の狙いではないか」と分析した。 話は死生観にもおよび、石川は「簡単に死ねないんだね、この国は」と吐露。平均寿命が延び続け、医療や介護といった社会保険費がかさむ現状をとらえ「個人それぞれが、死に方を選べる時代が来てもいい」と持論を展開。「僕は体が動かなくなったら、はっきり言って安楽死、尊厳死を求める。我々50歳代後半の高齢者予備軍は、そういった死生観を広げていかないと、子や孫の世代の負担が増える」と述べた。 「本当にいよいよダメになってきたという時、自分が尊厳ある最期を迎えられるように、マイナンバーカードの裏に書けるようにしておくなど、全員が意思表示する制度を政治はつくるべき」と熱弁をふるった。