ウエストランド井口浩之「正直、『M-1』より『オンバト』に出たいと思ってました」大学進学を理由に岡山から上京
2022年の『M-1グランプリ』優勝以来、さまざまなバラエティで活躍するウエストランド・井口浩之。ツッコミはもとより、愚痴と文句を言わせたら右に出るものがいない口達者ぶりで、仕事は引きも切らない。その文句言いぶりゆえに見落とされがちだが、実はウエストランドはデビュー間もない頃からテレビで着実に結果を残してきた駿才でもある。これまでの芸人人生で井口が感じた、「THE CHANGE」とは――。【第1回/全5回】 ■【画像】ウエストランド井口が『オンバト』出演を振り返り配信したYouTube動画 「今じゃ考えられないですけど、当時はネタ番組なんて本当になかったんですよ。年に何回かしかテレビでネタを見れる機会がなくて、あったら録画して擦り切れるぐらいビデオを観てました」 『M-1グランプリ2022』チャンピオン・ウエストランドの井口浩之に、どんなお笑いを観て育ったのかをたずねた。こうしてしゃべる様子は、ふだんテレビで観るときよりはややロートーンだが、それでも速度は変わらない。 「高校に入る頃に『爆笑オンエアバトル』(NHK)が始まったんで、毎週必ず観てました。多分、まだ実家にVHSが残ってますよ。その前の時期に『ボキャブラ天国』(フジテレビ)があったけど、『ボキャブラ』はネタ番組ではないじゃないですか。だからそこに出てた人たち、アンタッチャブルさんとかがネタをやっているのを『オンバト』で初めて観て“こんなに面白いんだ”って思ってました」
小学校の頃から「ツッコミ井口」と呼ばれてた
『オンバト』放送開始は1999年。井口がいう通り、今のように若手がテレビでネタを披露する番組はほぼなく、当時出演していた芸人たちは「ここしかチャンスがなかった」と振り返る。そんな番組に、岡山県津山市の高校生は夢中になった。 「地方だから、お笑いライブには行けないんですよ。だから全国で毎週あれだけ若手のネタが観られたのってすごい貴重で。『オンバト』はそこがすごく大きかったですよね。ただ、別に自分の周りではブームにはなってなかったです。同級生で2~3人観てるやつがいるぐらいでした」 もともとお笑いは好きで、バラエティを好んで観ていた。小学校の頃からサッカークラブで「ツッコミ井口」と呼ばれ、中高生の頃は文化祭に来た他校の生徒から「ツッコんでください」と乞われていたという。 「それはもう、お笑いどうこうというより性格ですけどね。最初は単純に、真面目だったから周りに注意してたら、そういうふうに言われるようになっただけで」 バラエティやテレビコントと、若手のネタ番組では“面白さ”の意味が異なる。それまでほとんど観る機会のなかった若手芸人のネタは、井口少年にとってどう”面白かった”のか。 「テレビはダラダラ観られるものですけど、ネタはそうじゃなくて、“面白い”と思っているものを4分なりなんなりで見せるわけじゃないですか。その頃そんなふうにはっきり思っていたわけじゃないですけど、そこが観ていて面白かったんですかね。やる側になったらすごい嫌ですけどね(笑)」 その2年後、2001年には『M-1グランプリ』が始まった。