派閥の政治資金問題で自民党が関係者処分決定へ
安倍派幹部の処分は「非公認」、「党員資格停止」を検討か
党規律規約が定める処分は8段階ある。自民党執行部内では、塩谷、下村、西村、世耕の4氏に関して、4番目に重い「非公認」か、あるいはさらに重い「党員資格停止」が検討されているという。他方で、復党が困難な「除名」や「離党勧告」は避けるとの見通しが多い。他方、幹部以外の議員については、8段階で2番目に軽い「戒告」の処分とすることが検討されている。 ただし、こうした処分で国民が納得するかどうかは明らかではない。自民党は3月12日の総務会で、党規律規約の改正を決めている。政治資金規正法違反で会計責任者が逮捕・起訴されれば、議員に「党の役職停止」「国会・政府の役職辞任勧告」「選挙での非公認」「党員資格停止」「離党勧告」を行うことができるようになった。さらに、会計責任者の有罪が確定すれば、議員に対する離党勧告や除名処分を行うとも明記した。 しかし、この改正された党規約は、今回の裏金事件を巡る処分には適用しない方針だ。この点も踏まえて、処分が甘すぎるとの批判が国民の間から今後出てくる可能性はあるだろう。 今回の事件をきっかけに、政治資金規正法改正など政治改革をできるだけ早期に進めていくことが強く求められるところであるが、なかなかそこにたどり着かない状況だ。自民党は自浄作用というダイナミズムと政策推進力を大きく落としてしまっている。 (参考資料) 「安倍派の塩谷氏・下村氏・西村氏・世耕氏、「非公認以上の重い処分」自民が検討…岸田首相は対象外」、2024年3月23日、読売新聞速報ニュース 「自民処分 基準は「政治責任」 安倍派幹部念頭 党員資格停止も」、2024年3月22日、産経新聞 「自民、議員処分を厳格化 規約改正、裏金事件に適用せず」、2024年3月12日、時事通信 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英